税金・経営・会計のニュース

 
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「つもり贈与」に要注意

親の世代から子や孫の世代に相続時ではなく、生前に財産を上手に渡す方法として、贈与する方法があります。しかし、「贈与したつもり」だったのに、相続時に贈与とは認められず相続財産とされてしまうケースがよくあります。

贈与税の非課税枠内で生前贈与されたつもりでも相続財産に

親から生前贈与された子供名義の預貯金が、親が亡くなって相続が発生した際に相続財産とされた事例があります。

このような事例のようなケースはAさん自身の預金とみなされ、相続税の課税対象になる相続財産とされます。

事例 Aさんは、子供のBさんに贈与税の非課税枠(基礎控除額:110万円)以内で、毎年、Bさん名義による定期預貯金として贈与していました。ところがAさんが亡くなり相続税の申告後に行われた税務調査で「これは生前贈与ではなく相続財産」とされました。Bさんは裁判に訴えましたが、以下の理由から地裁判決は、「相続財産」と認定されました。

・Aさんは子Bさんに通帳の届出印は渡していたが、通帳はAさんが保管していた。

・預貯金等を贈与する旨の契約書が作成されていない。(口約束はあったが)

・Aさんは必要に応じて預貯金の一部を解約し使用していた。等

生前贈与と認められる条件は?

贈与について、民法では当事者の一方が自己の財産を相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することによって成立する」とされています。したがって、一方的な意思表示のみで成立するのではなく、当事者間の契約があってはじめて有効になります。

税務調査等で、生前贈与した事実を証明できるように、以下の点に注意することが必要です。

注意点1 贈与の都度、贈与契約書を作成する

口約束でも契約したことになりますが証拠にはなりません。当事者双方に「財産をあげます」「財産をもらいます。」といった意思があったことを証明するには、書面(贈与契約書)を残しておくことが大切です。

注意点2 通帳や印鑑、カードの管理は贈与を受けた本人が行う

贈与財産をもらった人がその財産を自分のものとして管理し、自由に使える状態でなければ贈与したことになりません。したがって、、通帳や印鑑は、贈与した人ではなく贈与を受けた人が保管・管理するのが当然です。贈与者自身が引き出したり解約できるような状態では、贈与者の預金(子などの名義を使った名義預金)として判定されます。

注意点3 お金の贈与は振込で行う。

贈与した事実が、通帳等で確認できるようにしておくことが重要です。

贈与額が年間110万円を超えた場合は贈与税の申告をする

金銭を暦年贈与した場合、贈与税はその年中に贈与した金額から基礎控除額を差し引いた金額に課税されます。

1年間に贈与した金額が110万円以下であれば贈与税はかからず申告する必要はありませんが、110万円を超えた場合は贈与税の申告が必要になります。

課税価格 その年中の贈与金額-基礎控除額(110万円)

相続税の調査時において贈与税の調査も行われ、申告がないと贈与税が課税されるとともに無申告加算税が課されることになります。

110万円以下でも課税されるケースに注意

前述のように贈与を受けた額が年間110万円以下だと贈与税の申告は必要ありません。ただし、例えば10年間にわたって毎年100万円ずつ贈与受けることを贈与者と約束している場合、約束した年において10年間に毎年100万円ずつ給付を受ける権利の贈与があったものとして贈与税がかかるので申告が必要になります。


贈与税の申告漏れ等が8割以上

国税庁「平成26年事務年度における相続税の調査状況について」の贈与税に係わる調査事績によると、贈与税の申告漏れ等の非違件数のうち無申告が85.4%と8割を超える結果となっています。なお、「実地調査件数」と「申告漏れ等の非違件数」については以下の通りです。

・実地調査件数3949件(対前事務年度比104.3%)

・申告漏れ等の非違件数3616件(対前事務年度比105.6%)

国税庁は、相続税調査時等あらゆる機会を通して財産移転の把握に努め、無申告事案を中心に積極的に贈与税の調査を実施するようです。

決算書は会社のカルテ

決算書の数値は、会社の現状を映し出す鏡であり、その健康状態を示すカルテのような役割を果たすことが可能です。決算書を経営に生かしましょう。

貸借対照表のイメージ

貸借対照表の借方(左側)には、現預金、売掛金、製品(商品)、材料などの流動資産と建物や機械などの固定資産があります。

貸借対照表の(右側)には、買掛金や短期借入金などの流動負債、長期借入金などの固定負債のほか、資本金や利益剰余金などを表す純資産があります。

 

会社の多くは、投資や仕入れの支払を先に行い、売上の入金は後になります。

貸借対照表には、会社のある一時点において、入金と支払がどの程度あるのか、その入金と支払は早く来るのか、遅く来るのか、またどの程度の設備を保有しているのか、返さなくてもよい資本がどの程度あるのかが示されています。貸借対照表から、短期的な入金と支払の予定などを資金繰りの現状を見ることができます。

 

損益計算書のイメージ

損益計算書は、製品(商品)の売上から、売上に対応する製品(商品)の原価である売上原価を差し引いたものが「売上総利益(粗利益)」です。

売上総利益から販売のためにかかった費用や本社経費である販売費及び一般管理費を差し引いたものが「営業利益」です。これが本業から稼いだ利益になります。

さらに営業利益に対して、受取利息や、配当金や支払利息などの営業外損益を加味することで、「経常利益」がわかります。

この経常利益は、会社の経常的な採算性を表します。そして、経常利益に臨時的な損益を加味して、税金を差し引くことで「当期純利益」が表されます。これが事業活動の成果、会社が稼いだ利益になります。

 

収益改善のヒント

過去の実績との比較

損益計算書から、前年同期や前年同月、前月の売上高などと比較して、よかった点、悪かった点を把握し、その原因を分析します。

売上高は「単価×販売数量」に分解することができますから、減収した場合、そのどちらが落ちたのかをすぐに把握できるようにしておきましょう。

そのために担当者別、取引先別、商品や製品別などで比較できるように販売管理の仕組みを構築しておきましょう。

 

販売目標プランの設定

販売目標額は、単に「売上目標○○万円」ではなく、「いつ、どのようにして、誰に、何を、いくらで、どのくらい買ってもらうか」にまで落とし込んだプランを設定します。

その立てたプランが実績と比較してうまくいったかどうかをチェックし、次の販売活動につなげます。

 

売上原価や販管費の見直し

例えば製造業であれば徹底的に短納期を追求するなどで、販売力の強化に繋げたり、、さらにコストダウンするなどの方策を考えていかなければなりません。

これから、給与ベースアップ、毎年増加する社会保険料など、人件費が大きなウエートを占めてきます。それを賄っていくためにも、売上総利益を高めていく必要があります。

財務経営力を強化しよう

新たに公表された中小企業の会計ルール「中小企業の会計に関する基本要領」を活用して中小企業は「財務経営力を強化することが求められています。財務経営力とはいったいどのようなことなのでしょう。

 

中小会計要領を適用すると

中小会計要領は、これまで中小企業の会計実務の中で、慣習として行われてきた会計処理を、いわばルール化、文書化したものでぁって、中小企業にとって決して難しいものではなく、これを適用することは、以下のように、経営にとってもプラスになります。

①財務をしっかりと把握できる。

中小会計要領に準拠した会計処理で日々の取引を記録して、月次決算を行うことで、常に直近の経営や財務の実態を把握することができます。

 

 

②経営の改善が図れる

自社の財務数値によって、過去と現在の状況や、同業他社と比較分析することで、自社の課題や問題点などが発見でき、改善内容を含めた将来の事業計画に活用することができます。

 

③金融機関等からの信頼が高まる

社長自身が自社の財務状況について金融機関など外部の利害関係者へ正確に報告、説明できるようになることで、金融機関等からの信頼性が高まり、資金調達力も向上するでしょう。

 

会計を経営に活かそう

中小会計要領を適用し、会計を経営に生かすポイントとして、次の3つが考えられます。

 

①適時、正確な記帳をする

会社法は、適時、正確な会計帳簿の作成を要請しています。これは、取引発生後、速やかに記帳し、記録として残すことが正しい会計につながるためです。

1回、帳簿をまとめて記帳するようでは、自社の状況を正しくつかめないだけでなく、金融機関に説明することもできません。さらに、不正や間違いのもとになります。

適時な記帳は誰のためでもなく、会社自身のために不可欠なのです。

 

②決算書の信頼性を高める

決算書の信頼性を高める上でも、中小企業の会計慣行として支持され、今後、普及していく「中小会計要領」に準拠することが大切です。また、その決算書に第三者の会計専門家による保証も必要です。

具体的には、計算書類の作成過程に会計の専門家が関与する会計参与制度や、税理士が税務申告書の作成に際し、計算し、整理し、相談に応じた事項を明らかにして、税務申告書の適正性を表明した書面を添付する「税理士法第33条の2による書面添付」があります。

 

③財務情報を有効に活用する

財務情報を活用するには、どうすればよいのでしょうか。

1.月次決算早期化する。

月次の決算を早期に行えば、自社の問題点を速やかに発見でき、いち早い対策が可能になります。

 

2.資金繰り情報等を活用する。

財務会計データだけでなく資金繰りデータを併せて検討することで、「勘定あって銭足らず」の状態を回避することにつながります。この場合、資金繰りの実績のみならず、予定表の作成が重要になります。

 

3.管理会計を実践する

日常の会計実務では、部課別、商品群別、取引先別、店舗別などの切り口で事業の個別の損益状況を把握、検討します。このような会計データから強みや弱みを明らかにして、改善策を検討、実施することで業績向上につなげましょう。

 

財務経営力を高めるには、日頃から自社の業績等を数字で語る習慣をつけましょう。また、月次の試算表に目を通して、わからない点は会計事務所に聞くなどして理解を深め、一歩ずつ努力して財務に強くなりましょう。

償却資産(固定資産税)の申告

131日は、償却資産(固定資産税)の申告期限です。普段あまり馴染みのない税金のため、申告漏れや間違いがよく見受けられますので注意しましょう。

 

償却資産にかかる税金とは

会社や個人事業者が事業のために使用する機械、車両運搬具、器具備品、構築物などの減価償却資産には、固定資産税がかかります

償却資産にかかる税金であることから、実務では、一般に「償却資産税」とよんでいます。

 

どんなものが償却資産になるの

課税対象となる償却資産とは、その年の11日現在に所有している事業に使われる減価償却資産が該当します。

これらの資産にかかる改良費なども含まれますので注意が必要です。

10万円未満の少額な減価償却資産など地方税法上の「少額資産」にあたるものや自動車税等の対象となる自動車、無形のソフトウェアなどは該当しません。

 

 

申告漏れの多い償却資産の例は

申告漏れがよく見受けられる償却資産には次のようなものがあります。

・減価償却が終了した資産や、遊休・未稼動の資産で、事業に使用できる状態にあるもの

・エアコン、変電設備、屋外照明設備、屋外給排水配管等の建物に附属した設備

・アスファルト舗装路面、外構、フェンス、緑化施設等の構築物

・取得価額30万未満の資産で、中小企業特例によって全額損金算入したもの

・決算日以後、11日までの間に新たに取得した資産

・減価償却資産にかかる改良費 等々。

 

資産を取得したり、処分した場合は、

処分した償却資産がある場合には、その資産をすでに所有していないことを申告しない限り、毎年、償却資産税が課税されてしまいます。

償却資産台帳と現品とを照合するなどして、その資産が実際に存在しているかどうかを確認しましょう。

使用していない資産などがある場合は、廃棄などを検討しましょう。

償却資産を新たに取得したり、売却や処分した場合には、その事実がわかる書類等を必ず保存しておきましょう。

 

いつまでに申告するの

償却資産は、毎年131日までに、事業者が資産の所在する市区町村ごとに「償却資産の申告書」を提出します。

また、二つ以上の市区町村に営業所、倉庫、工場などを所有している会社は、それぞれの市区町村に申告書を提出することになります。そのため、償却資産がある場所よく確認する必要があります。

なお、償却資産にかかる固定資産税については、毎年、各市区町村が納付する固定資産税額を決定し、納税者に対して「固定資産税の納税通知書」を6月上旬頃に郵送します。

 

税率や免税点は

償却資産税の税率は、1.4%です(原則)。ただし、課税標準額が150万円未満であれば、償却資産税はかかりません。

課税標準額の判定は市町村、特別区、指定都市の区ごとに行われるため、異なる市区町村にある営業所間において償却資産の移動があった場合にはその事実をきちんと把握しておきましょう。

 

※償却資産の取得年月、取得価額及び耐用年数に基づき、申告した資産一品ごとに現在の評価額を算出し、その個々の資産の「評価額」を合計した額が、原則として課税標準額になります。

黒字決算に向けた決算対策

3月に決算を控えた企業も多いと思います。赤字の見通しがあれば今からでも可能な利益確保対策を、黒字の見通しであれば、来期以降の業績につながる有効な節税対策を検討しましょう。

現状の数値を把握し決算数値を予測する

 まずは、期首から期末までの自社の業績について、売上高、経費、利益等の数値を正しく把握します。

 現在までの実績を踏まえて、未経過月の業績を検討し、売上高、経費、利益等項目ごとに決算数値を予測し、赤字決算なのか、黒字決算なのか、目標(必要)利益は確保できるのかを把握します。

 

決算対策(利益確保、節税)を検討する。

 予測を数値をもとに決算対策を検討します。決算対策というと、黒字企業の節税対策と考えられがちですが、当期の目標とした利益を計上できるように、決算前に講じる様々な対策を指します。

 近年は、赤字企業に対する金融機関等の評価も厳しくなっており、赤字の時ほど、決算対策として黒字化に向けた利益確保対策を行う必要があります。 

 反対に、業績好調で、予想よりも多く利益が出そうであれば、設備投資や備品購入の当期への前倒し、決算賞与の支給等が考えられます。

 いずれにしろ、決算対策は、税法等の法律の範囲内で合法的に利益の確保、利益の圧縮を行うことになります。

 

1)利益確保対策

 大切なことは、たとえ決算期末まで残りわずかであっても、決してあきらめず、「まだやれることをやる!」ことです。あきらめたら、そこまでです。

 黒字経営のためには、今期の利益確保のみではなく、来期に黒字化するための方策を今から実施するという考え方も大切です。

 

対策例1 業績向上への取り組み

・営業活動を見直して重点得意先に対するアプローチをはかる

・見積り段階にある案件の成約、本採用に向けた営業を行う

・販売促進の強化(決算バーゲン、在庫一掃セール等)

 

対策例2 経費の先送り

 備品、消耗品の購入、広告宣伝費等の中で緊急性の低いものは翌期に先送りして、当期の費用にならないように調整します。

 

対策例3 含み益のある資産の処分など

 含み益がある株式や土地、その他の資産が処分可能ならば、処分を検討しましょう。

 

利益確保対策を検討しよう

・交際費の節減

・経費先送り

・広告宣伝の中止

・家賃の値下げ交渉

・保険契約の見直し

・役員報酬の減額

・株式の処分

・土地の処分

・含み益がある資産の処分

 

(2)来期につながる節税対策

 節税のために、損金(経費)が増えても、資金繰りが苦しくなるようでは意味がありません。節税対策は、経営に必要な資金を残しつつ、来期の業績につながるような対策を検討します。

 

対策例1 決算賞与の支給

 業績が予想以上に良い場合には、決算賞与を支給する方法があります。全従業員への決算賞与の支給は損金に算入できるうえ、従業員のモチベーションも上がります。

 

ここに注意

決算期末までに支給できず、未払いで計上する場合には、次の要件を満たす必要があります。

①支給額を各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての従業員(パート、アルバイトを含む)に対して、決算期末までに通知していること

②決算期末から1ヶ月以内に支払っていること

③損金経理をしていること

 

対策例2 30万円未満の備品の購入

パソコンや備品等は、一つ30万円未満であれば、年間で合計300万円まで取得価額の全額を損金に算入することができます。

 

対策例3 修繕費の前倒し実施

 次期に予定している修繕費を当期中に前倒しが可能であれば検討しましょう(ただし、当期中に完了する必要があります)

 

対策例4 不良在庫の処分

 不良在庫があれば、セール等で原価割れで販売し、原価との差額分を売却損として計上します。また陳腐化して売れない商品は、廃棄処分して廃棄損を計上します。

 

来期につながる節税対策を検討しよう。

・臨時・決算賞与の支給

・中小企業退職金共済への加入

・役員退職金の支払

・社員の教育研修の実施

30万円未満の備品の購入

・修繕費の前倒し実施

・広告宣伝費の実施

・次期販促の前倒し実施

・減価償却資産の購入

・不要な償却資産の処分

・不良債権の処分

・不良在庫の処分

・倒産防止共済の加入

 

効果的な決算対策は「月次決算」から

 一般的に年1回行われる決算の直前にできる対策は限られています。

 そのため、直近1ヶ月の業績をタイムリーに把握し、迅速な経営判断を行う月次決算体制の中で検討することが望ましいといえます。

 毎月、帳簿を締めて、最近の売上高、売上原価、経費や利益を掴む月次決算での検討の積み重ねがあって、はじめてより的確な決算対策が可能になります。

年末調整「扶養控除等(異動)申告書」等の記載上の注意点

「扶養控除等(異動)申告書」「保険料控除申告書」は、従業員が配偶者控除や扶養控除障害者控除、保険料控除等を受けるための申告書ですが、記載間違いや記入漏れがあると正しい計算行うことができません。以下の記載上の注意ポイント社員によく説明して正しく記載してもらいましょう。

 

「扶養控除等(異動)申告書」記載上の注意ポイント

ポイント116才未満の子供(扶養親族)は申告書下段の「住民税に関する事項」欄に記載する

「A控除対象配偶者」欄または「B控除対象扶養親族」欄に、配偶者または扶養親族の氏名、続柄、生年月日をもれなく記載します。

ただし、満16才未満の子供(扶養親族)に対する扶養控除は、平成23年に廃止されているので、「控除対象扶養親族」欄ではなく、申告書の下段の「住民税に関する事項」の「16才未満の扶養親族」欄に記載します。記入漏れのないよう注意しましょう。

 

ポイント2:扶養親族等の収入をよく確認し漏れ「所得金額」を記載する

控除対象配偶者や控除対象扶養親族の欄の「所得の見積額」欄には、パート、アルバイト及び年金等の所得がある場合に、1年間の「所得の見積額」を記載しますが、所得があるにもかかわらず記載が漏れていることがあります。なお記載するのは、「収入金額」ではなく、「所得金額」であることに注意しましょう。

 

ポイント3:扶養親族が70才以上の父母等の場合は、「同居老親等」または「その他」のいずれかに「○」をつける

70才以上の父母、祖父母等を扶養している場合、「同居老親等」または「その他」のどちらかを「○」で囲みます。

 

ポイント4:障害者控除、寡婦控除等を受けられる場合は、もれなく記載する

本人が障害者、あるいは障害者を扶養していると、障害者控除の対象になります。「C障害者、寡婦等」欄の「左記の内容」欄に障害者手帳の種類、障害の等級、状況等をもれなく記載します。

夫(妻)と死別あるいは離婚し、その後も婚姻していない人や、夫(妻)の生死が明らかでない人は、一定の条件のもと寡婦(夫)控除が受けられる場合があります。該当する場合は記入しましょう。

 

「保険料控除申告書」記載上の注意ポイント

ポイント1 契約している生命保険が新制度か旧制度かの区分を正しく記載する

 

生命保険料控除では「一般の生命保険」「介護医療保険」「個人年金」の三種類になっているので、それぞれ正しく記載します。その際、適用制度(新制度または旧制度)を確認して「新・旧の区分」欄の「新」または「旧」のいずれかに「○」を必ずつけるようにします。

 

ポイント2 保険金等の受取人の氏名や続柄等も漏れなく記載する

「保険等の契約者の氏名」のみならず「保険金等の受取人」の「氏名」「続柄」等も記入します。親族等が契約した生命保険であっても、本人が保険料を負担している場合は控除の対象になります(ただし、本人またはその配偶者や親族が保険金の受取人になっているものに限る)

 

ポイント3  保険料等の金額は本年1年間に支払った金額を記載する

保険料控除申告書には、「本年中に支払った保険料等の金額」となっているので、12月までに支払った金額から割戻金等を差し引いた金額を記載します。保険会社によっては多少表現が異なります。例えば、保険会社の控除証明書の証明金額が「証明書発行時に支払われた金額」等となっていることもあるので、よく確認し、正しく記載します。

     

今年1年の経営を振り返ってみよう

早いもので、今年も師走を迎えました。今年は、消費税の増税、円安による電気代や原材料価格等の上昇等、中小企業にとって、景気回復を実感しにくい年ではなかったでしょうか。そのような中で、自社のこの1年振り返って、売上や利益を点検し来年の目標や行動を考える参考にしましょう。

 

1.売上について

①去年の売上と比べて

(□良かった □変わらない □良くなかった)

 

②売上目標、経営計画の数値と比べて

(□良かった □変わらない □良くなかった)

 

その理由を考えてみよう

今年1年の売上の結果は、販売数量の送迎によるものなのか、販売価格の変化によるものなのかと、その理由を考えてみましょう。

 

売上増減の原因の例

・消費税の増税が影響した。

・売れ筋商品に変化があった。

・主力商品の販売が伸びた(落ち込んだ)

・価格を改定(値下げ、値上げ)した。

・大口取引が増えた(減った)

・異常気象、クレーム、流行、風評等特殊な事情の影響があった

  

2.限界利益率について

①去年の限界利益率と比べて

(□良かった □変わらない □良くなかった)

 

②経営計画の数値と比べて

(□良かった □変わらない □良くなかった)

 

その理由を考えてみよう

限界利益率の上昇は、企業努力でも儲けが増えたことであり、反対に下降は、様々な要因による変動費の上昇等を意味します。

特に今年は、消費税の価格転嫁の問題や原材料価格の上昇等限界利益率の低下をもたらす諸事情がありましたが、その他の要因はなかったでしょうか。

 

限界利益率が下がった原因の例

・競合があり、価格を下げた。

・値引販売が増えた。

・消費税を転嫁できなかった。

・原材料や燃料の値上がり。

・コスト削減が限界にきている。

・外注費が増えた。

・不良品やロスが増えた。

 

3.固定費について

①去年の固定費と比べて

(□良かった □変わらない □良くなかった)

 

②経営計画の数値と比べて

(□良かった □変わらない □良くなかった)

 

その理由を考えてみよう

固定費は、人件費や地代家賃、減価償却費、支払利息、その他の経費等、売上の増減にかかわらず発生する費用です。その増加は利益を減少させる要因になります。

 

固定費が増加する原因の例

・不要あるいは休止している設備の維持管理に費用がかかった。

・新たな設備を導入した。

・人件費が増えた。

・電気代等の諸経費の値上がり

・交際費、広告費、交通費が増えた。

 

4.来年の戦略と目標を立てよう

売上や利益の変化の要因分析をしっかり行うほど、来年の経営戦略や具体的な目標設定(経営計画)がより理にかなったものになります。

マイホームを購入・新築、リフォームするときの税制の特例

マイホームの購入・新築、増改築等のために、住宅ローン組んだり、親から資金贈与を受けた際に、減税される優遇制度があります。これらの制度は消費税の延期に伴い期間が延長されています。

住宅ローン控除~税金を還付できる制度~

マイホームを購入、新築、増改築等をした場合の「住宅ローン控除」(住宅借入金等特別控除)は、一定の要件をもと、住宅ローン残高の一定額を所得税から控除できる制度です。所得税から控除しきれない場合には、住民税からも一部が控除されます。

 

住宅ローン控除のおもな適用要件

・控除を受ける年の合計所得金額が3000万円以下

・住宅(マンションの場合は専有部分)の床面積が50㎡以上でその2分の1がもっぱら自分の居住用であること

・店舗や事務所との併用住宅の場合は、店舗や事務所部分を含めた面積等々

耐震・省エネリフォーム減税の特例~特定の増改築等に係る住宅ローン控除~

住宅ローンを利用して特定の増改築(バリアフリー、省エネ改修工事)をした場合にも住宅ローン残高の一定額を所得税から控除することができます。

 

長期優良住宅化リフォーム減税の創設~耐久性向上改修工事が減税対象に~

平成29年税制改正において、特定の増改築等に係る住宅ローン控除の特例が次のように拡充されます。

  1. 適用対象に特定の省エネ改修工事とあわせて行う一定の耐久性向上工事が加わりました

  2. 特定の省エネ改修工事とあわせて行う一定の耐久性向上改修工事の費用に相当する住宅ローンが税額控除率2%の対象となる住宅ローンの範囲に加わりました。

    住宅ローンで改修工事を行った場合、所得税額から最大125000円が5年間控除されます。

     

住宅取得資金の贈与を受ける場合非課税制度

マイホームを購入する子や孫のために父母や祖父母が資金を援助する場合、一定の金額まで贈与税が非課税になる特例があります。

1住宅取得資金の贈与特例~最大で2200万円まで非課税

父母や祖父母等の直系尊属から、一定の要件を満たす住宅の購入、新築、増改築等のための資金の贈与受けた場合に、その住宅用家屋の区分や契約の締結期間、消費税率等に応じて、一定の限度額まで贈与税が非課税とされる特例です

消費税の引き上げ延期に伴う適用期間の延長

消費税率10%が適用される場合、8%が適用される場合等の非課税枠の適用期限等も延長され、非課税枠を段階的に縮小される時期も変更されています。

 

2相続時精算課税の特例

上記1のほか相続時精算課税の住宅取得等資金贈与の特例があります。この特例については、贈与税の年齢制限がありません。

具体的には、贈与時に贈与財産の課税価額の年間合計額から特別控除額(累積で限度額2500万円)を控除した後の金額に対して、一律20%の税率を乗じて贈与税を納め、贈与者が亡くなった時に、相続財産にその贈与財産を(贈与時の時価)を加えて相続税額を計算し、すでに支払った贈与税額を控除します。

この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産についてはその選択をした年分以降すべてこの制度が適用されます。

この制度上記1の制度と併用することができます。

期中に役員給与を減税せざるを得ないときの注意点

事業年度開始から3カ月以内に決定した役員給与は、原則として、その事業年度の決算月まで同額を支給しなければ税務上損金算入が認められません。しかし、著しい業績不振等から期中において、役員給与を減額せざるを得なくなった場合、要件を満たせば減額が認められます。

□減額した場合の税務上の取り扱い

税務上の役員給与には、①定期的(一月以下の一定期間ごと)に支給する「定期同額給与」と、夏・年末や決算月の賞与などの臨時的な給与であらかじめ税務署に支給時期と支給額額を届けた「事前確定届出給与」があります。

(1)定期同額給与を減額した場合

例えば、3月決算法人が5月末の定期株主総会において、毎月支給する役員給与の額を120万円と決定し、6月から支給していたが期中(10月から)に90万円に減額改定した場合、原則として減額後の90万円が当初(6月)から支給されていたものとみなされます。

この場合すでに支給済みの改定前の120万円と改定後の90万円の差額30万円の4か月分(6月~9月)の120万円が損金の額に算入されません。

(2)事前確定届出給与を減額した場合

事前に届け出た支給額を減額して支給した場合は、支給額の全額(7月支給の100万円と12月支給の50万円)が損金の額に算入されません。

□「やむを得ない事情がある場合」

定時株主総会等で役員給与を決定する際のは予測できなかった事由が発生したことによって、役員給与を減額改定せざるを得ない場合があります。以下のような「やむを得ない事情」がある場合には、減額前と減額後の役員給与について損金算入が認められます。

(1)役員の職制上の地位や職務内容に重大な変更があった場合(臨時改定事由)

例えば、「常勤から非常勤」「取締役から監査役」など地位の変更や、社長、副社長、専務、常務など役位の変更による減額、あるいは不祥事による役員給与の減額、役員の入院加療等により職務執行が不能になったことによる入院加療中の減額などが、「やむを得ない事情」にあたります。

(2)経営状況が著しく悪化した場合(業務悪化改定事由)

例えば主要な販路の喪失や主要な取引先の倒産などによる事業規模の縮小のための経営改善計画によりリストラを行わざるを得ない状況での減額などがあります。

(3)減額に至った経緯等を記録に残す

上記(1)(2)は、どのような場合でも認められるということではなく、本当に「やむを得ない事情」が存在するのかどうかが実態に即して判断されることになります。したがって、減額に至った経緯を「説明できる資料やその手続きに関する書類等(株主総会議事録、経営改善計画書など)を作成し保存しておくことが必要です。

□税務リスクへの対応

職位の変更、経営者の傷病等による職務執行不能、経営状況が著しく悪化した場合に、役員給与の額をそのままにしておくことは、「減額しないことによる税務リスク」が生じることもあります。そのため、会計事務所とも相談して経営改善計画の策定や社内手続き等を迅速に進め、税務上の問題が生じないようにしておく必要があります。    

期中(月次・四半期等)の業績検討の重要性

~自社の足腰を鍛え、金融機関からの信頼を得る~

経営状況の変化が厳しい昨今においては、経営計画を立てて、業績目標を明確にして、業績検討をしっかりと行うことが重要になります。

 

なぜ期中の業績検討が必要なのか?

 年度末の決算は1年間の営業活動の着地点です。この直前に、目標と予算との数字にズレがあることが分かっても、挽回するすべはありません。目標を達成するためには予算との差異が発生した時に、それに気付き「なぜズレたのか?」、その原因を究明し、その後の行動に役立てることが大切です。

 このように、予算に対して着地の精度を上げるためには、年度末ではなく、期中の業績検討を行うことが重要といえます。

 さらに月次決算の精度をあげることで、期中の業績がより正しく把握できます。

 

なぜ、ズレが生じているのか?

 まずは、前年同月の実績、予算それぞれと比較し、売上、限界利益率、変動費、固定費などに変化がないかを見てみましょう。

 予算とのズレがあった場合には、その原因を究明することで次の打ち手につながります。

●主力・重要商品の売上が伸びているか?

●主要得意先の売上が減少していないか?

●値引きが増えていないか?

●仕入単価の値上がりや不良・ロスの増加など、変動費が上昇していないか?

●人件費(残業代、パート・アルバイト費)が増加していないか?

●広告費、交際費、交通費などの経費が増加していないか?

特例事業承継制度が適用できるかどうかのチェックポイント!

特例事業承継制度(特例税制)は、自社の非上場株式を先代経営者から後継者へ承継することによる相続税・贈与税が実質的にゼロとなる制度です。ただし先代経営者、後継者、会社それぞれに適用要件があり、現状で要件を満たさない項目があれば、その対応が必要になります。


1先代経営者の要件

先代経営者の要件は、図表1(1)の通り4つあります。「①会社の代表者であったこと」は、贈与の場合、贈与までに代表権を返上する必要があります。相続の場合は、相続開始直前において、代表者(代表取締役)でなかったとしても問題はありません。

 また、「同族関係者グループで過半数の議決権株式を保有」し、「③グループの中(後継者を除く)で、筆頭株主であったこと」の要件を満たさない場合には、自社株式の買取等によって、贈与・相続の開始までに同族関係者の中で筆頭株主になっておくことが必要です。この場合株式買い取りのための資金対策なども必要になります。


2後継者(受贈者)の要件

~贈与の場合~

 後継者(特例経営承継受贈者)が、現状において適用要件を満たさない場合は、以下のような対応が必要となります。


  1. 会社の代表者でない場合

    現状で後継者が代表取締役でない場合は、贈与の時までに代表取締役に就任すれば問題ありません。また、その後継者を含めて複数の代表取締役がいても構いません。

  2. 役員就任後3年を経過していない場合

    後継者が役員に就任して3年を経過すれば、株式を贈与して納税猶予を受けることが可能になりますので、贈与・相続等の適用期限(平成391231日まで)に注意し、役員就任後3年を経過した以降に、株式の贈与を行う具体的な計画を立てましょう。

  3. 後継者が保有株式の上位者でない場合

    同族関係者から自社株式を買い取るなどによって、代表者である後継者が同族関係者の中で議決権数の最上位者になります。


3後継者(相続人等)要件

 ~相続の場合~

 先代経営者の非上場株式等について、後継者である相続人(特例経営継承相続人等)が相続税の納税猶予を受けるには先代経営者の死亡直前において、後継者が役員であることが必要です。そして、相続開始の日の翌日から5ヵ月を経過する日までに代表者になる必要があります。

 

4資産管理会社は原則として適用できない

 特例税制適用できるのは、中小企業基本法で制定された中小企業です。ただし常時使用する従業員が一人以上いることなどの要件があります。

資産管理会社(一定要件を満たすものを除く)や医療法人、社会福祉法人、風俗営業会社なども適用対象外になります。

 資産管理会社とは、有価証券、自ら使用していない不動産、現金・預金等の特定資産の保有割合が総資産の総額の総額の70%以上の会社(資産保有型会社)や、これらの特定の資産から運用収入が総収入金額の75%以上の会社(資産運用型会社)をいいます。

 資産管理会社のうち、次の要件をすべて満たす場合には、資産管理会社に該当しないものとみなされ、特例税制の適用を受けることができます。

  1. 3年以上、商品販売・貸付(同族関係者に対する貸付を除く)等を行っている。

  2. 後継者・生計を一にする親族以外の常時使用従業員が5人以上である。

  3. 常時使用従業員が勤務している事務所、店舗等を所有又は賃貸している。

     

    特例税制が自社に適用できるかどうかについては、当事務所にご相談いただき、一緒に対応を考えていきましょう。

間違えやすい消費税の処理

建物、備品などの売却、リースの処理

不要となった資産を売却したり、機械、備品、車両等をリースで取得することがあります。そのような際にも、消費税がかかるのですが、その点を見落とす間違いがよくあります。

 

固定資産の売却にも消費税がかかる。

自社の商品を販売したり、サービスを提供したときには、当然、消費税がかかりますが、販売目的ではない事業用資産等を売却した際にも、消費税がかかります。例えば、建物、機械設備、器具備品、車両等の有形固定資産やソフトウェア等の無形固定資産の売却などです。

 

売却時に消費税がかかる(課税売上となる)…建物、機械設備、器具備品、車両、ソフトウェアなど

 

売却時に消費税がかからない(非課税売上となる)…土地、借地権、有価証券

 

売却損益ではなく売却収入に消費税がかかる。

固定資産を売却した際、法人税では、帳簿価額と売却代金(収入)との差額である売却損益が課税の対象となりますが、消費税では、売却代金(収入)に対して消費税がかかります。

 

設例1

機械装置(帳簿価額400万円)324万円(税込)で売却した時の消費税の処理

この場合は、売却収入の315万円のうち、消費税は24万円(324万円×8÷108)になります。

 

機械装置(帳簿価格400万円)540万円(税込)で売却した時の消費税の処理

この場合は、売却収入の540万円のうち消費税は40万円(540万円×8÷108)になります。

 

土地と建物の一括売却は建物部分にのみ消費税がかかる。

倉庫や工場など建物の売却には、消費税がかかりますが、土地の売買は非課税取引であるため消費税がかかりません。

そのため、建物とその敷地を一緒に売却するような場合には、建物部分と土地部分を区分することになります(通常は契約書で価格が明記されている)

 

設例3

倉庫(帳簿価額2000万円)とその敷地の土地(帳簿価格3000万円)5160万円で一括売却(倉庫部分2160万円(税込)、敷地部分3000万円)した時の消費税の処理

 

売却収入のうち、土地部分3000万円には消費税がかからず、倉庫部分の2400万円のうち消費税は160万円(2160万円×8÷108)になります。

 

固定資産をリースした時、

最近、パソコン、コピー機などの事務機器や自動車などをリースによって取得する企業が増えています。

リースによる場合、中小企業には、賃貸借処理が認められていることから、多くの企業が賃貸借取引で行っています。この場合、リース資産が、消費税の課税対象となる資産であれば、そのリース料に消費税がかかります。

 

設例4

5年リースで事務用機器を取得し、契約期間はリース料総額129.6万円(税込)。毎月のリース料は21600円(税込)×60回、会計処理は賃貸借処理で行うときの消費税の処理

この場合は、毎月のリース料に消費税がかかる分割控除か、リース初年度にリース料の総額に消費税がかかる一括控除かを選択することができます。

一括控除は、リースした最初の年度に仮払消費税等を9.6万円の税額を仕入税額控除できるというメリットがあります。

しかし、会計処理が煩雑であることから分割控除を採用する企業もあります

固定資産を廃棄する際の注意点

固定資産を廃棄することを、法人税法では除却といい、原則として、その帳簿価額を除却損として経費にすることができます。最近の税務調査では、固定資産の除却について、除却ではなく、売買等が行われていないかという観点から厳しくチェックされる傾向にあるようです。

固定資産を廃棄する際には、廃棄したことを証明できる資料等を残すことが大切です。

①不用となった機械装置を処分する。

業務に使用していた機械装置が製品の仕様変更や老朽化等によって使えなくなったために処分することがあります。この場合、原則として、その機械装置の除却直前の帳簿価額と撤去にかかった費用等を除却損として経費にすることができます。

 

除却の事実を証明できる資料を残す

機械装置を除却した場合には、廃棄の事実やその日付、時期、金額を証明できる資料等を保存しておきます。

②処分費用が高額なため処分できない。

実際に機械装置を廃棄、解体していなくても、一定の場合には、現状のまま除却損として経費にすることができます。これはその機械装置は、実際にはあるけれども、帳簿上はない状態にしてしまうということです。これを有姿除却といいます。

 具体的には、帳簿価額から、仮に処分した場合のスクラップ価値など処分見込額を差し引いて金額が経費になります。

有姿除却は、今後使用できないことが前提であり、一時的な使用停止や、使用中止後も、いつでも使えるように定期的な整備をしているなど再利用の可能性がある場合には認められません。

 有姿除却は、不用となった固定資産を処分できずに困っている企業にとって、帳簿上廃棄できるというメリットがある制度です。今後使用する可能性がないという点を証明できるようにしておく必要があります。

 

③営業用自動車を廃車する

営業用自動車を廃車した際も、除却損として経費にすることができます。

自動車を廃車にするには、陸軍支局(軽自動車の場合は、軽自動車検査協会)で手続きを行う必要があります。実務では、自動車解体業者などに手続きの代行を依頼する例が多いようです。

しかし、引き取った業者のほうで、解体処理されず、転売等がされてしまうというケースがあるため、税務調査で廃車ではなく、転売だったのでないか、という観点から、厳しくチェックされることがあります。

廃車でも転売でもなく、従業員や取引先等に無償で譲渡する(ただであげる)場合には、譲渡した証拠として贈与契約書などを交わしておきましょう。

 

勤務時間・体制の変更に伴う労務問題

節電や増産のために深夜・休日操業を実施

節電対策だけでなく、短期納品の必要性など様々な理由で、勤務体制の変更や勤務時間をシフトさせることがありますが、そのような場合は特に次の2点に注意しましょう。

・割増賃金が必要になるケースがあること。

・就業規則などの変更が必要になること。

できるだけコストアップにならず、社員にとっても働きやすい効果的な勤務体制を考える必要があります。

給与か?外注費か?の判断基準

多くの人の考え方の変化や雇用形態の多様化、さらには人件費負担を軽減したいという企業の考えもあって、製造業、建設業、運送業や小売・サービス業など様々な業種で、個人に外注として仕事を請負ってもらうケースがあります。

 

雇用か、請負かは、実態で判断される。

会社が個人の外注先に支払う外注費は、消費税の課税仕入れにできることや、従業員を雇用から請負契約にした場合には、社会保険料の会社負担がなくなることから、最近、外注に切り換える例が増えています。

 しかし、その一方で、税務調査において、外注先への支払いが給与と判定され、

①消費税の仕入れ税額控除を否認される

②給与の源泉徴収漏れを指摘される。

ということがしばしば見受けられます。

 外注先への支払いが、外注費として認められるか、給与と判定されるかは、まず、それが請負契約によるものか、雇用契約によるものかによって判断されます。ただし、形式的なものではなく、実態が伴っていなければなりません。具体的に、次のようなポイントを総合的に勘案して判断することになります。

 

外注先かどうかの判断ポイント

・外注先が、発注元以外の他社の仕事を請負っている(あるいは、外注先が発注元以外の仕事を請負う場合に、発注元の承諾を必要としない)。

・外注先が自己の判断と責任で業務を行っている(発注元が、外注先に対して仕事の内容や進め方への具体的な指示や指揮命令を行っていない)。

・仕事に必要な材料や道具は外注先が自分で用意する(発注元が支給していない)。

・外注先から請求書が発行されている。

・報酬は外注先から自ら計算している(時給、日給、月給制等の時間を単位として計算されているような場合は、給与と判断される恐れがある)。

・発注元の従業員同様の昇給や賞与がない(外注先では昇給・賞与はありえない)。など

 

ただし、建設業などでは、現場監督の指揮命令のもとで業務を行ったり、材料支給で請け負うことがよくありますし、業種や業務内容によっては、時給、日給のような決め方でなければ外注費を算定しにくいようなケースもあります。

 したがって、外注費の要件の一つに該当した、しないという単純な判断ではなく、あくまで事情を踏まえて総合的に判断することになります。そのうえで、実態が雇用関係にあると判断されれば、給与と判定されます。

 また、社会保険についても社会保険料逃れの偽装請負とみなされる恐れがありますので注意してください。

 

請負関係の留意すべきポイント

下請業者の仕事の内容は様々なので、実際には判断が難しいところですが、実態が起請負であることを明示できるように、最低限、次のことを確実に実行してください。

・請負契約書(業務委託契約書)を作成し、契約書には業務内容を明らかにしておく。

・外注先が自ら請負金額を計算し、請求書を発行してもらう。

・請求書にもとづいて支払いを行い、領収書を受け取る(収入印紙を忘れない)

 

事例1 歯科医院から歯科技工士の支払いが、給与と疑われた。

A歯科医院では、 B 歯科技工士に義歯・義冠の製作を依頼し、その代金を外注費として処理していたところ、税務調査において、 A 歯科医院から B に、義歯等の材料の提供があったことから、その支払いが給与に当たるのではないかとの指摘を受けました。

しかし、以下の事実から給与と認定されませんでした。

A 歯科医院と B との間で、業務内容について請負契約書を作成していた。

B が他の歯科医院からも業務を請け負っていた。

・材料は、 B が仕入れるよりも A 歯科医院が調達したほうが安価であるという合理的な理由があり、 B A 歯科医院に対して材料費を支払っていた。

 

事例2 電気工事業者が職人に支払った外注費が給与と判断された。

電気工事業 X 社は、電気配線工事を職人Yに依頼し、その支払いを外注費として処理していましたが、税務調査において、以下の事実から、実態は雇用関係にあるとして、給与と判断されてしまいました。

Y X 社以外から仕事を請負っていなかった。

・外注費の金額が、1日あたりの基本給にYが業務に従事した日数を乗じて算定されていた。

・作業に使用する道具や材料をすべて X 社が用意していた。

・電気配線工事の時間が、午前8時から午後5時までと決まっていた。

 

雇用から請負への変更は慎重に

従業員を雇用から請負契約に変更して、人件費を減らしたいと考えても、従業員として業務に従事していた場合と実態が変わらなければ、税法上は認められません。

 また、労働法規上も、従業員の同意なしに、一方的に請負形態に変更することは許されません。「同意しなければ解雇する」という手段も当然認められません。自社の財務内容などを説明し、話し合いで同意を得ていかなければなりません。

 仮に従業員の同意を得られて、請負契約に変更したとして、も働く側には、雇用環境の悪化といえます。そのため、これまでのような人間関係のよさや会社の帰属意識から生まれる仕事への責任感やモラルに期待できなくなる恐れもあります。慎重に検討した上で判断しなければなりません。

     

その支出は交際費か?給与か?

税務における交際費とは

税務において、交際費とは、得意先や仕入先など事業に関係する人への接待や贈答など

のために支出する費用のことをいいます。

 ただし、従業員の慰安のための旅行や会議における弁当代などに通常要する費用、外部の事業に関係のある人との1人当たり5000円以下の飲食費は交際費の範囲から除かれます(損金算入が認められます)。

 また、会社が交際費として支出したもののうち、事業に関係のないものや、使い途が明らかでないものは損金に算入することはできません。

 

社長や役員の個人的な支出は役員賞与になる

事業に関係のない、社長や役員の個人的な支出とみなしたほうがよいものが、交際費として処理されることがあります。このような支出は交際費ではなく、社長や役員への給与(役員賞与)になります。交際費は、税務調査においても、入念に調査されるところです。

役員賞与に認定されると税負担が増える

法人税・・・定期同額給与以外の給与になるため、役員賞与に認定された部分について全額が損金不算入になる。

所得税・・・社長への役員賞与になることで、社長に所得税の課税が発生する。会社は所得税の源泉徴収漏れがあったことになる。

消費税・・・役員等の個人が直接消費したとされる場合は、その消費税分を仕入税額控除することができなくなり、消費税の負担が増える。

 

     

役員報酬を改定する際の注意点

法人税法では、役員報酬や役員賞与を役員給与といいますが、毎月一定額を支給する役員報酬については、次の要件を満たさないと損金算入が認められていません。

要件 定期同額給与

①支給時期が1ヶ月以下の一定の期間ごとであること(月払)

②その各支給時期における支給額が事業年度を通じて原則同額であること

 

定時株主総会での役員報酬の改定

定期同額給与の要件は、月々の支給額が事業年度を通じて原則同額であることであり、事業年度の途中に増額や減額をすると、原則としてその一部が損金として認められません。ただし、決算終了後の定時株主総会など、毎年所定の時期に行われる改定で、次の要件を満たす場合は、定期同額給与とみなされ、全額を損金にすることができます。

①期首から原則3ヶ月以内に行う改定であること

②事業年度内において、改定前の毎月の支給額が同額であること

③事業年度内において、改定後の毎月の支給額が同額であること

 

例えば、役員報酬の支給日を毎月末とする6月決算法人が825日開催の定時株主総会において、報酬額を40万円から50万円に増額する決議を行い、総会直後の831日または翌月の930日から支給する場合は、増額後の50万円全額が損金として認められます。

 

業績悪化を理由に役員報酬を減額する場合

やむを得ず減額せざるをえない事情があれば、減額後も全額が損金として認められますが、一時的な資金繰りの都合、単に予算を達成できなかったといった理由は、やむを得ない事情には含まれませんので注意が必要です。

     

少額減価償却資産の税務処理の注意点

少額の減価償却資産を取得した時、事業のために使用した事業年度において損金算入できますが、その取得した資産の価額により以下の取り扱いになります。

10万円未満の少額減価償却資産を取得した時

全額を損金算入できます。償却資産の申告の必要はありません。

20万円未満の一括償却資産を取得した時

3年間で均等償却できます。償却資産の申告の必要はありません。

③中小企業者等のみの特例

30万円未満の少額減価償却資産を取得した時 全額を損金算入できます。

注意点

1事業年度の取得金額の合計額は300万円が限度となります。

・償却資産の申告をする必要があります。

 

※資産の取得価額には、原則として、その資産の購入対価と事業用として使えるようになるために直接要した費用のほか、引取運賃や購入手数料等資産の購入のために必要な費用を含めることとされています。ただし、付随費用に含めなくてよいものもあります。

取得価額に含めなくてもよい付随費用 租税公課等(不動産取得税、自動車取得税、登録免許税その他登記または登録のために要する費用等)、割賦手数料等。

 

消費税については、税抜経理方式または税込経理方式によって取得価額に含めるかどうか取扱いが異なります。

税抜経理方式の場合 取得価額に含めない。

税込経理方式の場合 取得価格に含める。


     

契約書への印紙の貼り忘れ等がないか

法人税の税務調査において、契約書や領収書への印紙の貼り忘れ等が問題にされることがあります。最近は、特に契約書が重点的にチェックされる傾向にあるようです。


印紙の貼り忘れがあった場合、故意や過失(うっかりミス)にかかわらず、「過怠税」として本来の印紙額とその2倍相当額の合計額が徴収されます。


また、印紙に消印がされていないときもその印紙税額と同額の過怠税が課せられます。


過怠税は損金にならないうえ、契約書は印紙税額の大きいものもありますので注意が必要です。契約書を点検してみましょう。


助成金や給付金に税金はかかるのか?

新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受けた事業者や個人に対し、国や地方公共団体から持続化給付金や雇用調整助成金、特別定額給付金など様々な助成金や給付金などが支給されています。これらの助成金等について、課税の有無や計上する時期に注意しましょう。

 

原則として法人税が加算される

 新型コロナウィルス感染症による影響に対するものだけではなく、国や地方自治体では、様々な助成金や給付金(以下、助成金等)などを支給しています。

 法人が受け取った助成金等雇用調整助成金や地方自治体独自の休業協力金など)は、課税対象として雑収入に計上します。ただし、消費税は課税されません。

 

「持続化給付金」は課税されるのか?

 新型コロナウィルス感染症拡大によって大きな影響を受ける事業者に対して最大で法人200万円、個人事業者100万円が給付される「持続化給付金」は、法人・個人にかかわらず課税対象として、税務上、法人は雑収入、個人事業者は事業所得等になります。

 ただし、現在の売上激減の経営環境においては、経費などの損金のほうが多いと考えられるため、影響は小さいと考えられます。

 

個人が受け取る助成金等は課税・非課税のものがある

 個人が国や地方自治体から受け取った助成金等については、助成金の支給根拠となる法令等や所得税法に規定によって非課税所得となる助成金等以外は、所得税の課税対象になります。

(1)「特別定額給付金」は非課税

 国民1人につき10万円が支給される「特別定額給付金」は、支給の根拠となる法令等(新型コロナウィルス対応国税関係臨時特例法)の規定により非課税所得になります。

 また、児童手当受給世帯に対して上乗せ支給される「子育て世帯への臨時特別給付金」も非課税となります。

(2)所得税が課税される助成金等

 個人事業者の課税所得となる助成金等は、事業所所得、一時所得、雑所得のいずれかの所得として所得税の課税対象となります。

  1. 事業所得等になるもの

    例えば、持続化給付金や雇用調整助成金、小学校休業等対応助成金、東京都の感染拡大防止協力金などのように、事業者の収入が減少したことに対する補償や支払賃金などの必要経費に算入するべき支出の補填を目的として支給される助成金等は、事業所得等に区分します。

  2. 一時所得になるもの

    すまい給付金や地域振興券などのように、臨時的に一定の所得水準以下の人に対して支給されるなど、事業に関連しないもので、一時に支給される助成金等は一時所得に区分されます。

  3. 雑所得になるもの

    事業所得等や一時所得に該当しない助成金等は雑所得に区分されます。

 

コロナ禍でも伸びている売上げはないか?

~おさえておきたい!売上分析の着眼点~

新型コロナの影響で多くの企業が厳しい経営を強いられています。影響の長期化が予測されるなかで、手を打たなければ業績回復は望めません。昨年の売上の内容を得意先別、商品別等に分けて確認し、何がどのように変化したのかなどを分析することで、適切な経営戦略や目標設定(経営計画)につなげることができます。

 

■売上を「得意先別」に分析してみよう■

 新型コロナの影響を受けた令和2年の売上は前年比で見るとどうだったでしょうか。

   例えば、年間の売上が前年比で70%まで下がったとします。しかし、それを月別で見ると大きく減収となった月もあれ

   ば、微減で済んだ月もあったはずです。

   令和2年後半には回復基調を示した企業もあったことでしょう。

   また、得意先別や商品(製品)別に見ても、すべてが30%減少というわけでもないでしょう。

   コロナ禍でも売上が伸びた得意先や商品もあるはずです。

 まずは、次のような着眼点を参考に、売上を得意先別に分析してみましょう。

         ◉得意先別売上分析の着眼点

                 ①  昨年1年を通して、前々年と売上がほぼ変わらなかった得意先はどこか。

               ②  昨年後半以降、売上が回復している得意先はどこか。

               ③ コロナ禍以前よりも売上が増加した得意先はどこか。

               ④  昨年後半以降も売上が落ち込んだままの得意先はどこか。

               ⑤  得意先別の売上順位の変動はあるか。

               ⑥  国内と海外の得意先で変化はあるか。

 

 得意先別に分析すると、どこの得意先がよりコロナ禍の影響を受けているのかなどが明確になります。

 その上で、例えば上記「着眼点①②③」に該当する得意先は、新型コロナの影響を比較的、受けにくいということに

 なりますから、より一層、販売を強化し、売上を安定させるといった対策が考えられるでしょう。

 一方「着眼点④」に該当する得意先は、コロナ禍の影響を受けやすいことが考えられ「着眼点⑤⑥」の変化によっては  

 販売戦略の見直しが必要になるということです。

 つまり、全体の売上の数字だけでは、実態を把握できません。売上の内容を詳細に分析することで、コロナ禍における  

 自社の強みや弱みを把握でき、今後の戦略等に結び付けることが可能となります。

 

■「商品別」「限界利益(率)」も分析してみよう■

 次は、売上を商品(製品)別に分析してみましょう。ここでは次のような着眼点を参考にします。

        ◉商品(製品)別売上分析の着眼点

           ①  商品の売上順位の変動はあるか

                 ②  新商品や定番商品は売れているか

                 ③  コロナ禍以前と商品の売れ筋はどう変わったか

                 ④  売れ筋商品の価格帯や購買層はどう変わったか

                 ⑤  通販はどのEC取引での売上が伸びている商品は何か               

 売上を商品別に分析すると、コロナ禍で商品の売れ筋が変わったり、意外な商品の販売が伸びていたり、あるいは販売先が企業から一般消費者へシフトしている商品があるかもしれません。こうした変化をしっかりと見極め、今後、どの商品の販売に力を入れるのかなどを考えていきます。

 なお、こうした得意先別や商品別の売上の変化を“感覚的”に捉えるのではなく、データとして見える化し、分析し、社内で情報を共有することが大切です。

 また、限界利益(率)の高い商品や得意先に対する販売を増やすことができれば、売上が伸び悩むなかでも必要な利益の確保が可能となります。限界利益(率)に着目し、それを高めるための具体策を検討してみましょう。

 

■分析結果を目標設定(経営計画)に活かそう■

売上内容の分析だけで終わらせてはいけません。その結果を今後の経営戦略や具体的な目標設定(短期計画、中期計画など)に活かすことで、事業継続につながります。

 また、資金繰りや売上減少への不安がある、経営改善を図りたい経営者のために国が経営計画の策定を支援する制度もあります。

 

〔国の経営計画の策定支援〕

  専門家の力を借りて自己の経営を見直したい、あるいは金融支援を伴う経営改善を図りたい中小企業に対して国が補助金を出して経営計画の策定を支援する制度で、「早期経営改善計画策定支援」「経営改善計画策定支援」の2つがあります。いずれも税理士等の認定支援機関が計画策定の支援とモニタリングによる計画の進捗と改善状況を確認します。

     

借入金の内容を確認し、返済時期・原子等を今から考える

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、売上が減少し、資金繰りが悪化した中小企業は、政府の資金繰り支援策の活用によって、急場をしのいでいるかと思われます。一方で、借入金が増加していることが懸念されています。今後、返済時期、返済原資などについて整理しておきましょう。

 

手元資金の確保は必要!返済のことも考えておく

 コロナショックによる経済活動の冷え込みに対し、政府系金融機関の新型コロナ対応特別融資、セーフティーネット保証の拡充、民間金融機関での実質無利子融資など、手厚い資金繰り支援策を利用して、手元資金を厚くしている中小企業も少なくありません。先行き不透明な現状においては、手元資金を十分に確保することは重要です。

 しかし、借入金はいずれ返済しなければならないため、借入状況や返済時期、返済原資などについて整理しておく必要があります。

 

まずは借入れごとの情報を整理する

 借入ごとに借入金額、借入期間、返済条件などの情報を、「借入金台帳」や「借入金一覧表」などできちんと整理します。これにより、返済年月ごとの元金・利息の支払に必要な金額が明確になります。

 借入金に関するメモ書きだけや、金銭消費貸借契約書や担保設定書といった書類を単にファイリングしただけということがよく見受けられますが、それだけではしっかり管理することはできません。

 借入情報を整理しておくことで、自社の環境変化にも素早く対応することができます。

 「借入金台帳」「借入金一覧表」は以下のような項目を借入契約ごとに整理してあれば、書式や形式にこだわる必要はありません。

  *金融機関名   *借入期間   *借入利率   *保証人・連帯保証人

  *返済期限    *据置期間   *担保    *毎月の返済額

  *資金使途    *協会保証の有無(借入金との紐付)   等々

 

 長期借入金のうち、1年以内に返済しなければならない部分を「1年以内返済長期借入金」として経理処理しておけば、決算書や資産表上において、近々返済すべき額を「見える化」することができます。

 

返済シミュレーションを行い据置期間終了後に備える

 新型コロナ関連融資の特徴として据置期間が最長5年となる場合があり、すぐに返済が始まるわけではありませんが、その分、据置期間を含め、借入返済までの期間が長期化することを意味します。

 まずは、借入情報に基づき、将来の返済シミュレーションを行いましょう。元本返済のために売上や利益、固定費の削減がどの程度が可能かどうか確認することが重要です。

 また借り入れた資金の使いみちは慎重に再検討しましょう。一時的に資金が増えると、つい無駄遣いをしてしまうことがあります。あくまでも事業を継続するための資金として、投資以外には極力使わず、残った分は据置期間終了後に返済するぐらいの生酛を持つことが大切です。

 既存の借入金がある場合は、新型コロナ関連融資を活用し、借換えやリスケージュル(借入条件の変更)で、毎月の返済負担を減らすことを検討しましょう。

 

固定費と変動費の削減、経営を再度、見直す

 資金繰り支援による融資をもとに、一刻も早く業績を回復、改善につなげていきたいところです。

 「据置期間終了後、借入金の返済の目途が立たず追い込まれた」ということがないように、今から自社の経営を再度、見直してみましょう。

 新型コロナの影響が得意先にも与えていることを考えれば、目先は得意先への売上改善に期待するよりも、固定費や変動費の削減、不採算部門からの撤退など社内で着手できるところから始めましょう。

 

 1.固定費の削減を検討する

   新型コロナによる、非対面・非接触という新しい生活様式への対応は、テレワークや終了時間の短縮、出張や接待交際の自粛など企業活動にも大きな影響を与えました。

   今回の災難は、従来の手法による企業活動の無駄な部分や非効率の部分を示唆しているといえます。

   新型コロナが収束しても以前の経営環境に戻らないとすれば、無駄な部分の固定費の削減に着手し、残業縮減など効率的な働き方を検討しましょう。

 

 2.変動費の削減を検討する

   借入金の元本を滞りなく返済するためには、元本返済分の限界利益の増加を図ることが基本です。必要な限界利益額は、売上高(数量×単価)×限界利益率で計算されます。

   たとえ売上数量が減少しても、限界利益率を引き上げることで、限界利益率を確保することができます。

   材料費や外注加工費に無駄はないか、結果として在庫が積みあがっていないか、物流に無駄はないか、運賃を適正に顧客に転嫁しているか、を確認してみましょう。そして新型コロナ関連ゆうしにより借り入れた資金について、

     資金に余裕があるうちにその使途と返済計画をしっかりたてちくことが重要になっています。


   

雇用を守り、事業を継続する手段を考える

コロナ禍において、事業の縮小を余儀なくされたり、売上回復が遅れるなかで、従業員の雇用を守りつつ、いかに事業を継続させるかが課題になっています。また、令和34月以降、新たな経営課題となるような労務関連の制度改正が次々と予定されています。

 

休業・時短営業には、まず雇用調整助成金の活用を!

  新型コロナの収束が見えないなか、今後も休業や時短営業を余儀なくされる企業もあるでしょう。雇用維持と人件費を考えた場合、まずは雇用調整助成金を活用しましょう。

  雇用調整助成金は、新型コロナの影響を受ける事業主(全業種)を対象に、売上要件の緩和、助成率および上限額を引き上げた特例措置(緊急対応期間)が2月末日まで延長されています。

   ◉特例措置のポイント

     売上要件:1ヶ月で5%以上の売上減少

     助 成 率:10/10(解雇を実施しない場合)

     上 限 額:1人日額15,000

     計画届の提出:不要

(1)休業計画に基づき休ませること

  雇用調整助成金は、売上減少によって、従業員を休業させる必要がある場合に、あらかじめ立てた休業予定(計画)

  に基づいて、従業員を計画的に休業(1日又は一定の時間)させなければなりません。

   ◉休業計画において決めておく内容

    ◦ 休業期間、休業日数

    ◦ 休業する時間(1日中または一部の時間)

    ◦ 休業させる対象従業員(一部または全員)

    ◦ 休業手当の額(平均賃金の60%以上)

      ※「今日は、仕事が2時間早く終わったから2時間早く帰らせる。仕事がないので明日は休みにする」というケースは、「計画的な休業」とはならないので注意しましょう。

(2)従業員に休業手当を支払うこと

  休業計画に基づいて、従業員を休ませる際には、休業手当(平均賃金の60%以上を支払う必要があります。

  雇用調整助成金は支払った休業手当に対して支給されます。

  従業員ごとに休業日数や時間をタイムカードや出勤簿に、休業手当の額を給与明細や賃金台帳に記載しておきます。

  これらは支給申請時に必要です。

 

労働時間や働き方の見直しで雇用を維持する

  コロナ禍において、企業によっては、労働時間や業務内容、社員の働き方が大きく変わったところもあるでしょう。


(1)1日の労働時間を減らす

   1週間の労働時間が、18時間・週5日の場合、新たな働き方として、1日7時間にすることも考えられます。

 「18時間×週5日=140時間」⇒「17時間×週5日=135時間」

 注意すべきことは、労働時間の削減に伴って給与を引き下げた場合、後述する労働条件の不利益変更にあたるめ、

 従業員への適切な説明と個別合意が必要になります。

(2)変形労働時間制の導入

   一方、1週間の所定労働時間はそのままで、1日の労働時間を増やすことも考えられます。

   「18時間×5日=140時間」110時間×週4日=140時間」

   この場合は、所定労働時間が法定の1日8時間を超えてしまいますが、変形労働時間制を導入すれば、不利益変

   にはなりません。

 

不利益変更をせざるを得ないときの注意点

  新型コロナの影響が長期化し、売上回復が見込めないなかで、会社の存続を従業員の雇用維持を図るため、給与の

  見直しなど、労働条件の不利益変更をせざるを得ない事態も想定されます。

  そのような場合は、まず、経費の削減、役員給与の減額、公的助成金の活用など、会社としてできる限りの手を

 尽くしましょう。その上で従業員に対して「適切に説明し、その妥協点を探り、個別合意を得る(合意書に署名

 捺印をもらう)」ことが必要です。時短のじっしにあたっては、それが新型コロナ収束までの時限的な制度

 (半年や1年など)か、持続的な制度にするかについての説明も必要でしょう。



消費税インボイス制度について①

令和510月からの消費税への適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)の導入に先立ち、令和310月より「適格請求書発行事業者」の登録受付が始まりました。

請求書の様式変更、発行と保存など、しっかり準備していきましょう。

 

「適格請求書発行事業者登録」は、なぜ必要?

☞令和5101日に「適格請求書等保存方式」が導入されるためです。これは経営に影響する重要な変更で対応に準備が必要です。登録申請は早めに行いましょう。

(1)経営への影響?⇒仕入税額控除のためには必須!

 「適格請求書等保存方式」(いわゆる「インボイス制度」)が導入される事により、課税事業者である買い手は「適格請求書(インボイス)等」を保存しないと仕入税額控除ができなくなります。「適格請求書等」は「適格請求書発行事業者」だけが発行できるため、売り手は登録申請をして「適格請求書発行事業者」になる必要があります。新制度導入後は、買い手が売り手に対して「適格請求書発行事業者」であることを求めるようになると予想されます。

 なお、「適格請求書発行事業者」登録は、販売する商品に軽減税率対象品目があるかどうかに関係ありません。また、消費税や免税事業者へは「適格請求書等」の交付義務がありません。

    ※「適格請求書等」とは、一定の事項が記載された請求書や納品書、レシート、領収書等をいいます。

   ◉事業者が納付すべき消費税の計算方法

    納付すべき消費税額=課税売上にかかる消費税額-課税仕入等にかかる消費税額

                           ↳「仕入税額控除」といいます。

(2)登録事業者は国税庁が公表

 上述のように事業者の仕入税額控除に大きく影響することから、「適格請求書発行事業者」に登録した事業者の氏名や登録番号等は登録簿に登載され、国税庁のホームページで公表されます。

    ◉具体的な公表事項

◦適格請求書発行事業者の氏名または名称

◦登録番号、登録年月日(取消、失効年月日)

◦法人の場合、本店または主たる事務所の所在地(左記ほか、事業者から公表の申出があった場合)

   ◦個人事業者:主たる屋号、主たる事務所の所在地

     ◦人格のない社団等:本店または主たる事務所の所在地



消費税インボイス制度について②

令和510月からの消費税への適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)の導入に先立ち、令和310月より「適格請求書発行事業者」の登録受付が始まりました。

請求書の様式変更、発行と保存など、しっかり準備していきましょう。

 

登録申請書の提出は、いつまでに、誰が行う?

☞登録申請書の受付は令和3101日より開始されています。

新制度が始まる令和5101日から登録事業者となって「適格請求書等」を発行するためには、令和5331日までに登録申請書を提出しなければなりません。

 

(1)新制度導入日から「適格請求書(インボイス)等」を発行するには

 「適格請求書発行事業者の登録申請書」の受付開始から、「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」が始まるまでのスケジュールは次のとおりです。登録申請書の提出後、審査に一定の時間を要しますので、早めに提出するようにしましょう。

◉登録申請のスケジュール

令和3101日から登録申請書提出可能(受付開始)

           ⇓

令和5331日までに登録申請書を提出

(上期日までに提出すれば令和5101日から登録事業者となって

「適格請求書等」を発行可能)

         ⇓

令和5101日より「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」導入

 

(2)早めの登録申請で事前準備を

 「適格請求書等」に対応するためには、請求書様式の記載事項の変更がひつようとなります。「適格請求書発行事業者」が交付する請求書等として「登録番号」の記載はもちろん、「適用税率」や「税率ごとに区分した消費税額」の記載も必要です。自社の請求書や領収書等に登録番号の表示ができるように事前に準備をしておきましょう。

 

(3)登録申請が必要な事業者

 「適格請求書等」を発行するのは基本的に消費税課税事業者であるため、課税事業者が登録をすることになります。

 免税事業者が登録をするためには、「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者となる必要があります。ただし、令和5101日を含む課税期間中に「適格請求書発行事業者」の登録を受けた場合は、登録を受けた日から課税事業者となるため、「消費税課税事業者選択届出書」の提出はありません。



消費税インボイス制度について③

令和510月からの消費税への適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)の導入に先立ち、令和310月より「適格請求書発行事業者」の登録受付が始まりました。

請求書の様式変更、発行と保存など、しっかり準備していきましょう。

 

「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」とは?

☞「適格請求書等保存方式」は、仕入税額控除を受けるために、売り手から発行された「適格請求書等」(登録番号をはじめ、定められた事項が記載された請求書)の保存が求められる仕組みをいいます。

 

(1)企業間の取引で必要になる「適格請求書(インボイス)等」

仕入税額控除の適用を受けるためには、帳簿や請求書等の保存が必要となりますが、この保存すべき請求書等が「適格請求書(インボイス)等」に変わります。これを「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」といいます。

「適格請求書等」とは、企業間の取引(B to B)において、売り手が買い手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段であり、登録番号などの一定の事項が記載された請求書や納品書、領収書、レシート等の書類や電子データです。

 現行の「区分記載請求書」の記載事項に加え、登録番号等の記載が追加されます。

 

(2)不特定多数の者に販売する事業者が発行できる「適格簡易請求書」

すべての取引が消費者と行われるのであれば「適格請求書発行事業者」になる必要はありません。しかし、小売業など、多くが消費者との取引(B to C)であっても、企業との取引で領収書が求められることがあります。その場合は「適格請求書」が必要です。

このような、不特定多数の者に対して販売等を行う小売業、飲食店業、タクシー業等に係る取引については、「適格請求書」に代えて、「適格簡易請求書」を発行することができます。

(3)適格請求書等の交付義務が免除されるケース

適格請求書等を交付することが困難な以下の取引は、交付義務が免除されます。

     公共交通機関である船舶、バスまたは鉄道による旅客の運送

(税込み3万円未満のものに限る)

     出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売

(出荷者から委託を受けた受諾者が卸売の業務として行うものに限る)

     生産者が農業協同組合、漁業協同組合または森林組合等に委託して行う農林

水産物の販売

(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限る)

      ④ 自動販売機・自動サービス機により行われる商品の販売等

        (税込み3万円未満のものに限る)

      ⑤ 郵便切手を対価とする郵便サービス

        (郵便ポストに差し出されたものに限る)

    (4)税額の端数処理の留意点

      「適格請求書等」の記載事項「税率ごとに区分した消費税額等」に、1円未満

     の端数が生じる場合、一の適格請求書等につき、税率ごとに1回の端数処理を

     行います。したがって、「税率ごとに区分して合計した対価の額」に税率を乗じ

     るなどして計算します。

      ※端数処理は「切上げ」「切捨て」「四捨五入」など任意の方法で行います。



消費税インボイス制度について④

令和510月からの消費税への適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)の導入に先立ち、令和310月より「適格請求書発行事業者」の登録受付が始まりました。

請求書の様式変更、発行と保存など、しっかり準備していきましょう。

 

免税事業者はどう対応する?

☞取引先から課税事業者か尋ねられることがあるかも知れません。それは免税事業者からの仕入では、取引先で仕入控除ができないからです。そういったことから、課税事業者になることの検討が必要かもしれません。

 

(1)免税事業者は「適格請求書(インボイス)等」を発行できない

「適格請求書(インボイス)等」を発行できるのは、課税事業者が登録できる

「適格請求書発行事業者」に限られます。そのため、免税事業者が「適格請求書等」を発行するためには課税事業者になる必要があります。

「適格請求書発行事業者」の登録を受けた後は事業者免税点制度の適用はなくなり、基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても消費税の申告と納付が必要になります。

    ※課税事業者と免税事業者

     ◉課税事業者…その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円超の事業者は課税事業者になり、消費税の申告および納付を行う必要があります。

     ◉免税事業者…基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は免税事業者になり、原則として消費税の申告および納付を行う必要はありません。

       (基準期間とは個人事業者は前々年、法人は前々事業年度のことです)

 

  (2)課税事業者との取引がある免税事業者の場合

     免税事業者など「適格請求書発行事業者」以外の者から行った課税仕入は、原則として仕入税額控除の適用を受けられません。よって仕入先が課税事業者か免税事業者かによって消費税の納付税額が変わってしまいます。

     ※免税事業者から仕入れると、仕入税額控除を受けれないため、納付税額が増え

      利益はその分減少することになります。

 

(3)経過措置

     「適格請求書等保存方式」の導入から6年間は、免税事業者等からの課税仕入

であっても、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる次のよ

うな経過措置が設けられています。

     ・適格請求書等保存方式の導入から3年間(令和5年10月1日~令和8年

9月30日まで)は80%控除可能。

      次の3年間(令和8年10月1日~令和11年9月30日)までは50%控除

      可能。

      それ以降(令和11101日~)は控除不可となります。

     ※ただ、この経過措置の適用に当たっては、免税事業者から受領する区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等の保存と、この経過措置の適用を受ける旨(80%控除・50%控除の特例を受ける課税仕入である旨)を記載した帳簿の保存が必要になります。

 

    (4)免税事業者が検討すべきことは?

       事業の実態等を踏まえ、次のような場合を想定して、課税事業者を選択する

      (「適格請求書発行事業者」の登録申請をする)かどうかを検討しましょう。

        ① 顧客が消費者のみの場合には、必ずしも「適格請求書等」を発行する必要はありません。

        ② 課税事業者を選択すると消費税の申告・納付が必要になります。

        ③ お客様や取引先から「適格請求書等」の発行を求められる可能性が

          あります。

        ④ 「適格請求書等」を発行できないと、課税事業者の取引先から消費税分の値引きを要求されたり、取引が見直されたりする懸念があります。



ふるさと納税についての素朴な疑問

  ふるさと納税は、地方自治体に寄付をすると、寄付金額から2,000円を差し引いた金額が、所得税・住民税から控除される制度です。寄付の返礼品が届くという魅力もあり、年々、利用者が増加しています。それに伴い、きちんと控除されているのか、どこを見れば控除額がわかるのか、といった問い合わせが増えてきています。

 

  1.   ふるさと納税は寄付によって自治体を応援する制度

ふるさと納税は、納税者が、生まれ故郷やお世話になった地域、被災した自治体などを応援する制度で、お住まいの自治体に納める税金の一部を、応援したい任意の自治体へ納税するものです。

  「納税」という言葉がついていますが、実際は、都道府県や市区町村への寄付になります。ふるさと納税によって寄付した金額のうち2,000円(自己負担分)を越える部分の全額が、原則として翌年に納める所得税と住民税から控除されます。(上限額あり)

  上限額は、確定申告書を作成した会計事務所に試算してもらうほか、ふるさと納税のポータルサイト(ふるさとチョイス、さとふる、ふるなび、楽天ふるさと納税等)の控除額のシミュレーション機能を使うと便利です。

 

  2.   ふるさと納税はどのように税額控除されるのか?

  ふるさと納税は納税(寄付)の際に現金やカード決済で支払、納税した翌年に納める所得税や住民税の減額という形で税額が控除されます。

  そのような仕組みであるため、「きちんと控除されているのか、よくわからない」という問い合わせをいただきます。

  確定申告、ワンストップ特例(後述)のどちらを利用しても、控除される税額は同じですが、税額控除の方法に違いがあります。

 

(1)確定申告の場合

    例えば、昨年(令和2年)に、ふるさと納税をして、今年3月に確定申告(令和2年分)を行った場合、税額控除は令和2年分の所得税からの控除(還付)と、令和3年度の住民税(道府県民税〈東京都は都民税〉・市町村民税〈東京23区は特別区民税〉からの控除とに分けて、税額控除されます。

     所得税からの控除額は?

    (ふるさと納税の額-2,000円)×適用所得税率

     ※適用所得税率は、復興特別所得税の税率を加えた率

    ② 住民税からの控除額は?

     例年6月ごろに届く住民税の決定通知書の税額欄「税額控除額」を確認してください。ふるさと納税以外に寄付金控除等がなければ、道府県民税と市町村民税の税額控除額の合計がふるさと納税による控除額になります。

     上記①と②を合計した金額が、控除される税額になります。

(2)ワンストップ特例の場合

例えば、昨年(令和2年)にワンストップ特例を利用してふるさと納税をした場合、令和2年分の所得税からの控除は発生せず、全額が令和3年度の住民税からの減額という形で控除されます。

他に税額控除額がなければ、住民税の決定通知書の税額欄の道府県民税と市町村民税の税額控除額の合計が、ふるさと納税によって控除される税額になります。

 

  3.   これからふるさと納税を始める方へ

これから、ふるさと納税を始める方は、ふるさと納税のポータルサイトを利用すると便

利です。ポータルサイトにおいて、返礼品や寄付金の使い道などを確認し、応援したい自治体を選ぶだけですが、寄付金控除を受けるには、確定申告をするか、確定申告なしのワンストップ特例の利用を申請する必要があります。

 ワンストップ特例は、サラリーマンなど、以下の2つの条件に該当する人が利用することができます。

     年収2,000万円以下の給与所得者など確定申告をする必要のない人

     1年間に行ったふるさと納税の寄付先自治体が5か所以内であること

 

  後日、寄付先の自治体から返礼品のほか、「寄付金受領証明書」やワンストップ特例の「申請書」が送られてきます。申請書は必要事項を記入して返送します。

  ワンストップ特例を申請しても、医療費控除など確定申告をする場合や寄付先が5か所を超えた場合は、確定申告において寄付金控除を申告しなければなりません。

「寄付金受領証明書」は確定申告に必要なので、大切に保管しておいてください。



中小企業の賃上げ税制はこうなる!

企業の積極的な賃上げを促すため、令和4年度税制改正では、賃上げ税制の強化として税額控除率(最大40%)の拡充が行われます。また、赤字など税優遇の恩恵が受けられない事業者には、ものづくり補助金や持続化補助金に特別枠が設けられることとなります。

 

1. なぜ今、賃上げなのか?

   政府が、賃上げ税制を強化する背景には、企業の内部保留が9年連続で過去最高を更新する一方で、賃金がほぼ横ば     いの状態が続いているという現状があります。

    賃上げにより、GDP(国内総生産)の半分以上を占める個人消費を伸ばすことで、企業の利益が拡大し、それがま     た賃金として還元される「成長と分配の好循環を生み出す」という狙いがあるからです。

 

2.   中小企業の賃上げ税制のポイント

    適用期限が1年延長され、次のように、これまでの賃上げ要件である前年度比1.5%以上増加()をそのままに、新       たに前年度比2.5%以上増加させた場合に税額控除率が30%となる要件()が追加されました。

 ①…雇用者全体の給与総額(雇用者給与等支給額)を前年度比で1.5%以上増加

    ⇒給与増加額の15%を税額控除

 ②…雇用者全体の給与総額(雇用者給与等支給額)を前年度比で2.5%以上増加

    ⇒給与増加額の30%を税額控除

    雇用者には、既存の従業員(パート・アルバイト等を含む)だけでなく、新規採用の従業員も含まれます。

 給与増加額(賞与含む)は、制度を適用する年度の雇用者給与等支給額から前年度の雇用者給与等支給額を控除した額     になります。

 ①②の賃上げ要件に加えて、教育訓練費の増加等による上乗せ要件()があります。

 ③…教育訓練費を前年度比で10%以上増加

    ⇒税額控除率を10%上乗せ

    これにより、前年度比2.5%以上の賃上げと教育訓練費の前年度比10%以上増加で、税額控除率は最大の40%にな       ります。

   上記の改正は、令和441日以後に開始する事業年度から適用されます。

 

3.   税制の恩恵を受けられない企業には?

   赤字など業況が厳しい中でも、賃上げ等に取り組む中小企業向けに、補助金の特別枠等が創設されます。

 (1)ものづくり補助金の特別枠の設定

  「ものづくり補助金」に、賃上げ等に取り組む赤字事業者を対象とした「回復型賃上げ・雇用拡大枠」が設けられます。

 【 回復型賃上げ・雇用拡大枠 】

  次の要件をすべて満たす35年の事業計画を策定する必要があります。

   ①事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させること

   ②雇用者全体の給与総額を年率平均1.5%以上増加させること

   ③事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上引き上げること

 (2)持続化補助金の特別枠の設定

  小規模事業者が経営計画を作成して取り組む販路開拓や生産性向上に要する経費の一部を支援する「持続化補助金」に、「成長・分配強化枠」が設けられます。

 【 成長・分配強化枠 】

  事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上引き上げる事業者や事業規模を拡大させた事業者が対象です。


ますます重要となる適時・正確な記帳!

令和4年度税制改正では帳簿(仕訳帳や現金出納帳等)に関する罰則等の強化などが行われました。また、給付金等においても経年との売上高比較による給付申請が行われるなど適時・正確に記帳された帳簿の重要性が増しています。この機会に再度日々の記帳の意義について見つめなおしてみましょう。

 

1.会計帳簿が持つ2つの役割

「給付金等の申請では、資料をすぐに確認でき申請もスムーズに出来て助かりました。

毎月監査してもらってるおかげです。」と、ある会社の社長がおっしゃいました。

 給付金の申請には、それぞれ定められた過去の任意の基準月と同じ対象月の売上高を

比較して、売上高減少率に該当した月を申請することが出来ます。

こんなとき、毎月帳簿を記録できていれば、比較も容易にでき申請可能かどうかを、速やかに判断することができ、申請する際にもスムーズにすすめることが出来るのです。

 

 Q.…ところで、どうして現金出納帳などの帳簿を日々、記帳するように言うの?

  A.⇒会計帳簿には本質的な役割が2つあります。1つは、経営者への自己報告機能です。つまり経営者自身への通    知表、経営診断なのです。財産や借入の現状、売上や利益、資金繰りといった経営の成績がわかります。経営    者 が経営判断を見誤らないために、いつも最新の状況を把握しておくことができるようにするためです。

     もう1つは、証拠力が確保されることです。タイムリーにかつ正確に記帳された帳簿は記帳もれや間違いを起    こしにくくなるため、信頼性も高くなります。

    刑事訴訟法でも日々の業務過程で作成された商業帳簿には証拠能力があると認められています。

 

2.適時の記帳は会社を守ることにつながる

 取引の都度、タイムリーに正確に帳簿づけをすることで証拠力が高まるといわれてます。かつては帳簿と言えば紙を綴った帳面で、間違った記載をしたときは、その原始記録を消去することなく、そのまま帳面に残し、その上で訂正記入を加える「見え消し」(赤の二重線を引いて、その上に正しい数字を記載する等)をすることで帳簿の証拠力を維持してきました。

また、記帳のもとになる領収書や請求書などの取引の証拠書類を証憑と言いますが、これらに基づいて記帳することも大切です。これは証憑が電子データ化されても同様です。

現在のように会計システムを使って記帳する時も同様で、月次で締めた後はさかのぼって訂正できない仕組みになっていたり、訂正の痕跡が残るようになっていたりするシステムは信頼性が高いので、その証拠力はいざというときに会社を守り、税務当局や金融機関など社外からの信頼につながります。

 

 Q.…もし、帳簿をつけなかったり、ごまかしたりしたら何か罰則があるの?

 A.⇒会社や事業者が保存すべき会計帳簿、請求書等の書類や電子データを保存していないと青色申告の取消の要因   になります。そうなると、特別償却や税額控除といった有利な制度の適用や欠損金の繰越控除ができなくなる   ので、税負担が大きくなることが予想できます。

   今年の税制改正では、帳簿を提出しなかったり、売上をごまかしたりした際のペナルティー(加算税等)をこれまで以上に重くする改正が行われたことは注目されています。

 

  Q.…経理に時間や人員をなかなか割けない場合はどうしたらいいの?

   A.⇒TKCの会計システムでは、過去の同一仕訳のコピー貼付機能や、提携取引を

      あらかじめ登録しておく仕訳辞書機能を使えば、簿記会計に詳しくない人でも

      容易に会計処理ができます。銀行の預金取引やクレジットカード取引のデータを受信し、その取引データを              もとに仕訳を“かんたん”に計上できます。給与計算システムや販売購買システム、レジからのデータ連動を

     使えば入力作業はもっと減らすことが可能となります。合理化を図りつつ、会計は経営者自身のためにあると  

     本質的な目的は見失わないように、記帳や会計ダータの入力、証憑の保存に向き合っていきましょう。




どうする!?この売掛金

~滞留債権への対応編~

 売掛金の中に、長期にわたって未回収のままになっているものはないでしょうか。このような滞留債権は、消滅時効に注意しつつ、法的手段を含めた回収方法を検討し、貸倒れにならにように対応することが必要です。

 

1.法的手段をとる前に、まずは取引先との交渉が前提

回収ができないからといって、すぐに法的手段を行使することはせず、まずは取引先へ訪問、電話をして、交渉を

 重ねたうえで、次のような手続きを検討しましょう。

 

(1)  取引先に買掛金がある場合は相殺

取引先に、売掛金と買掛金がある場合は、滞留している売掛金と買掛金とを相殺して支払いに充当するなどの対

応が考えられます。これにより、法的手段に至らずに済みます。

 

(2)  相殺後も再度取引先と交渉

    買掛金との相殺でも完済できなければ、残金の支払いについて協議する必要があります。残金を一括で支払うの  

    か、分割で支払うのかなど、取引先の状況を確認し、確実に支払うとの確約を得ることが大切です。このときの 

    協議事項は文書にしておきましょう。

    取引先と協議し、回収計画が確定したら改めて残金の請求書を発行しましょう。

 

2.法的手段は回収の最終手段

売掛金には消滅時効(5年)があるため、放置しておくと債権が消滅してしまいます。

債務者の支払を催告したり、債務を承認させる等の方法によって、時効期間の完成を遅らせたり、振り出しに戻す必 

用があります。これを時効の完成猶予・更新といいます。再三の訪問や、電話を繰り返しても、取引先が支払いに応

じてくれない場合、回収の最終手段として法的手段をとることも必要です。

 

(1)  まずは内容証明郵便から

     法的手段の前に、催告書を配達証明付きの内容証明郵便で送付しましょう。

     内容証明郵便は取引先への強い意思表示になり、送付することで事態が進展する可能性があります。  

     内容として、「誰が誰に対して、どのような契約に基づくどのような債権を、いくら請求しているか」等のほ  

     か、「期限内に請求に応じない場合の措置」についても記載します。

 

(2)  法的手段は主に2つ

     主な方法として「支払督促」と「少額訴訟」があり、通常の訴訟に比べて手続

     きが簡易で、訴訟費用が安く抑えられます。

 

⦿ 支払督促

      申立人側の申立てのみ基づいて、簡易裁判所の書記官が相手方に支払いを命じる略式の手続きです。

      〈ポイント〉

       ◉ 書類審査のみで行われる簡易な手続き

       ◉ 証拠の提出や裁判所に出向く必要がない

       ◉ 通常の手数料の半額

    ⦿ 少額訴訟

      60万円以下の請求に限って利用できる制度です。簡易裁判所での簡単で迅速な訴訟手続きです。

      〈ポイント〉

       ◉ 原則として即日で判決

     相手が支払督促に対して異議申立て、少額訴訟に対して同意しない場合には、通常の訴訟に移行してしまうことになります。これらのことも踏まえて、法的手段を検討しましょう。

 

3.どうしても回収できない場合は貸倒損失の検討を行う

  売掛金が回収できない状態が長期化する場合は、勘定科目を売掛金から長期滞留債権へ振り替え、取引先において 

  以下の事実が発生した場合は、貸倒損失等として会計処理することを検討します。

 

  金銭債権が切り捨てられた場合(法律上の貸倒れ)

会社更生法、民事再生法の適用等の法的手段により金銭債権が消滅した場合は、税務上、損金算入が認められます。

  金銭債権全額が回収不能となった場合(事実上の貸倒れ)

相手方の支払不能等によって、金銭債権の全額を回収できないことが明らかになった場合は、税務上、損金経理を行うことで損金算入が認められます。

 ※相手からの担保物があるときはそれを処分した後になります。

  ③ 一定期間取引停止後弁済がない場合等(形式上の貸倒れ)

    継続的な取引による売掛債権で取引停止後1年以上経過した場合(担保物があるものを除く)、または売掛債権

より回収費用のほうが上回る場合です。この場合、税務上、備忘価格1円を除き損金経理を行うことで損金算入が

認められます。



103万円・106万円・130万円 パート等の扶養の範囲の注意点!!

パート・アルバイト等で働く場合の、年末調整の大きな関心事が、「103万円の壁」をはじめとする、年収の「壁」への対策です。年収や所得を正しく把握し、超える壁、超えない壁をしっかりと見極めたうえで、安心して年を越せるよう準備をすすめましょう。

 

103万円の壁」は所得税の課税に関するもの

 年間の収入が103万円を超えると、所得税の課税対象となります。この103万円という金額は、給与所得に対する控除の仕組みによって決まっています。

 給与所得者は、給与所得を得るための必要経費にあたる分を収入から控除(差し引き)することができます。

年収が103万円の場合、給与所得控除は55万円で、これを差し引いて残った48万円が「所得」になります。

 ここから「基礎控除」の48万円(所得が2,400万円以下の場合)を差し引いて、残った分が課税対象(課税所得)となります。

 年収が103万円以下であれば課税所得がゼロになるため、所得税が課されないのです。

 

103万円の壁」は配偶者ではない場合、特に注意

 103万円を超えてしまった場合、配偶者(夫/妻)の場合と扶養家族(子ども等)の場合で、受ける影響が異なります。

【 例として妻がパート、子ども(1人)がアルバイトをしている家庭で考えてみます 】

  ◉ 妻の年収が103万円を超えると、妻に所得税が課されます。また、夫は配偶者控除が受けられなくなりますが、

    妻の年収が201万円を超えるまでは配偶者特別控除が受けられる場合があります。

◉ 子は、年収が103万円を超えると、所得税が課せられ、父親が受けていた扶養控除を受けられなくなります。

    また、扶養控除には「配偶者特別控除」のような制度がありません。妻の年収が103万円を超えた場合に比べて

    家計への影響が大きく、注意が必要です。

 

 年内2ヶ所以上からの給与所得がある場合

2ヶ所以上から」と聞くと副業や掛け持ちを思い浮かべるところですが、転職した場合も同様に注意が必要です。

 転職を年内に複数回している場合、年収や所得を計算するためには、すべての勤務先からの収入を正しく把握する必要 

   があります。見落としがないよう注意してください。

 また、転職した場合、前職からは離職時に源泉徴収票を受け取っているはずです。現在の職場への提出もれがないかを

   確認し、見つからない場合は以前の職場へ連絡して入手しましょう。

 

 家族の給与以外の収入にも注意

 株や為替、暗号資産等の取引で得た利益、物品等の転売益、家賃収入、生命保険の一時金や損害保険の払戻金、公営競

   技(競馬など)の払戻金等は、雑所得や一時所得として所得税等の課税対象となる場合があります。

 これらを正しく把握していないと、意図せずに年収の「壁」を超える、誤った情報を基に所得税の申告を行う、などの 

   トラブルの原因となります。

 

 住民税の課税対象となる「100万円の壁」

 所得税とは別に、住民税にも課税対象となるかどうかの「壁」があります。自治体によって異なりますが、

   年収93100万円を超えると課税対象となります。

 「103万円の壁」に比べて影響が大きくないため、意識することは少ないですが、住民税の納付通知書が届いた際には

   忘れず対応しましょう。

 

106万円の壁」と「130万円の壁」は社会保険の扶養範囲にかかわる

 106万円の壁」と「130万円の壁」は、本人の社会保険への加入の必要性にかかわるものです。

 「106万円の壁」は、年収の概算値で「106万円」といわれていますが、実際の条件は「月額賃金8.8万円以上」です。

   このほか「勤務先の従業員数」や4「週の所定労働時間」などで一定の条件を満たすと、社会保険の加入対象になりま

  す。

 「130万円の壁」は、年収が130万円を超えると、配偶者の扶養から外れることとなり、自身で国民健康保険・

   国民年金に加入する必要が生じます。

 保険や年金は、将来のお金の問題にもかかわります。これを機にもっと働く、扶養の範囲に抑えるなど、「壁」を

   超えるときは、働き方まで含めて十分に検討しましょう。



今後増加する⁉ 法定福利費(事業主負担)について知っておこう!

令和410月からの社会保険の適用拡大は政府の社会保障の支出の増加に伴い、1人でも多くの人に加入してもらうことが立法趣旨です。また、次代の日本を担っていく子ども・子育ての手当を厚くするため、その拠出金の財源としても欠かせません。さらに、コロナ禍で雇用調整助成金の支出が激増し、令和4年度は雇用保険の年2回という異例の引き上げが行われました。

「法定福利費」をきちんと把握していますか?

企業が福利厚生のために支払う費用のうち、法律で義務付けられているものを法定福利費といいます。具体的には社会保険料・労働保険料の事業主負担分のことで、下記6種類が該当します。

(1)  健康保険料

(2)  介護保険料

(3)  厚生年金保険料

(4)  子ども・子育て拠出金

(5)  雇用保険料

(6)  労災保険料

 

 このうち、健康保険料と介護保険料については、地域、加入している健康保険組合などによって料率が異なります。(ホームページなどで、料率・料額を確認しましょう)

 健康保険料・厚生年金保険料の支払額は標準報酬月額によって等級分けされており、各等級には1~6万円ほどの幅があります。

 子ども・子育て拠出金は標準報酬月額に拠出金率を乗じて、雇用保険料・労災保険料はそれぞれ賃金総額(基本給と諸手当を合わせた額)に各保険料率を乗じて決定されます。

 

パート・アルバイト従業員も全員「社会保険」に加入する時代がくる?

 社会保険は、令和410月に従業員101人以上、令和610月に従業員51人以上の企業を対象に適用拡大が行われます。

適用拡大の対象となった企業では

  所定の労働時間が週20時間以上

  月額賃金が8.8万円以上

  2ヶ月を超える雇用の見込みがある

  学生ではない

  という4つの条件を満たす、すべての従業員が社会保険の加入対象となります。

  政府は将来的にすべての勤労者が社会保険に加入するよう制度改革を進める方針で今後、従業員規模や月額賃金に関する条件がさらに改められる可能性もあります。

 

「雇用保険料」引き上げに!

 令和4年には2段階にわたり、さらに令和54月にも雇用保険料の引き上げが行われました。その理由となるのが、コロナ禍で特例措置が設けられた雇用調整助成金です。

令和241日の特例措置開始から令和4610日までの間に、支給が決定した分だけでもおよそ5.7兆円もの支出になり、財源の確保が大きな課題になっているのです。

 改定後の料率は、過去最高というわけではありませんが、失業率の高かったITバブル崩壊後の水準に近づきます。

 

法定福利費の増加にどう対応するか

 法定福利費は、従業員が多ければ多いほど支払額が多くなります。一見すると労働者を雇用するときのコストに思えますが、機械化や合理化、IT化、DXの推進によって従業員の労働生産性を高めることで、実質的に法定福利費の負担を軽減することができます。

 また、法定福利費は会社の売上や利益ではなく、従業員の給与と連動しています。賃金は、最低賃金の引き上げ、人材の確保などで上昇する可能性があります。その上昇分を賄うには、業績を伸ばして、限界利益(粗利)を増加させる必要があります。

 法定福利費の上昇が予想される今こそ、労務について見直す機会です。貴社の現在の経営状況と、法定福利費の負担額などを考慮して、この機に労務の最適化を図りましょう。





インボイスと電子取引への対応を進めよう!!

令和5年は2つの制度改正への対応が必要な年です。まず、10月に開始するインボイス制度への対応です。そして12月末日に宥恕措置(ゆうじょそち)が終了する電子取引データの電子保存への完全対応です。今一度、対応すべく内容を確認しましょう。

インボイス制度開始に向けて請求書等の対応は進んでいますか?

インボイス制度開始に向けて、以下の対応が必要となります。制度開始までのスケジュールを確認し、対応を進めましょう。

(1)  適格請求書発行事業者(インボイス)の登録申請

(2)  自社発行の請求書等のインボイス対応

(3)  取引先からのインボイスへの対応

 

(1)適格請求書発行事業者の登録申請…当初令和5331日までに登録申請とされていましたが、令和5年度税制改正により令和5930日までに登録申請すると制度開始時より適格請求書発行事業者として対応できるように変更されました。課税事業者で適格請求書発行事業者の登録申請を予定している事業者は、申請をしても審査等があり、登録番号発行に3週間ほど日数がかかるため、余裕をもって早めに申請をしましょう。

※インボイスは【適格請求書発行事業者】に登録した課税事業者でなければ発行することが出来ないため、免税 事業者が【適格請求書発行事業者】に登録すると、事業者免税制度が使えなくなり、消費税の申告と納税が必要となります。事業の実態とメリット・デメリットを踏まえて免税事業者は検討するようにしましょう。

(2)自社発行の請求書等のインボイス対応…以下のように自社発行の請求書等をインボイスに対応させる必要があります。

 ① 自社発行の書類とその様式を確認し、インボイスにする書類を確定。

 ② インボイスに記載する取引金額等の表示方法を決定。

 ③ 利用しているシステムのインボイス対応の確認。

 ④ 取引先にインボイスとする書類とその様式の通知

 ⑤ 発行したインボイスの写しの保存方法の確定

(3)取引先からのインボイスへの対応…取引先から受け取るインボイスについては、特に小規模な事業者からの仕入や外注がある場合は、相手に適格請求書発行事業者への登録の意向や登録状況をを確認しましょう。

   ① 取引先が適格請求書発行事業者かどうかを確認。

   ② 取引先から受け取る書類のどれがインボイスになるかを確認し、事前にそ   

     の様式を確認します。項目が不足している場合は是正を依頼。

   ③ 受け取ったインボイスをもとに、どのように仕訳を計上するか、またそのタイミングを決定。

   ④ インボイスの保存方法の決定

 

電子取引データの電子保存への完全対応

 インボイス制度への対応に追われて、電子取引データの電子保存への完全対応が遅れてはいないでしょうか?

 電子取引とは、取引先との間での取引情報を電子データでやりとりする取引のことをいいます。例えば、取引先から電子メールで請求書を受け取っている、大手ショッピングサイトから消耗品の領収書をダウンロードしているなどが電子取引です。

 令和411日施工の改正電子帳簿保存法によって、取引先から受け取ったり、取引先に渡したりした電子取引に関する情報(電子取引データ)は、電子データでの保存が義務化されてますが、現在は、宥恕措置として、令和51231日までは紙による保存が認められています。

 令和611日からは、取引先との間で電子取引データでやりとりした領収書等の国税関係書類については、電子データのまま保存しなければ、法人税法や所得税法の証拠書類として認められないことになります。

 宥恕措置が終了となる令和5年中に電子取引データの電子保存への完全対応を進める必要があります。

 多くの従業員が電子取引にかかわっていると考えられるため、インボイス制度への対応よりも難しくなるでしょう。そのため、秋頃までに準備し、秋から年末にかけて運用をテストするつもりで準備しましょう。

 

(1)  電子取引の洗い出し

   電子取引には、以下のようなものがあります。自社で行われている電子取引を商流に沿ってすべて洗い出し、電子   取引データについても、取引先から受け取るもの、自社が発行するものを確認しよう。

    ○ 電子メールでの請求書や領収書の送受信

    ○ ショッピングサイトでの物品購入

    ○ インターネットでの公共料金の請求内容の確認

    ○ 電子決済サービスの利用

    ○ 従業員がネットで購入した旅費(航空券等)の立替払い

    ○ 電子請求書や電子領収書の受領

    ○ 取引情報の複合機での電磁的受領  等々

   (2)  電子取引取引データの保存要件

  電子取引データの保存には以下の要件が求められます。

   ○ やりとりが実在していること(真実性)

   ○ 必要な期間保存されていること(保存期間)

   ○ 保存後も探しやすいこと(検索性)

   ○ 見やすいこと(可視性)

 

 ※令和411日から電子取引したデータは電子的に保存することが義務づけられましたが、紙での保存から電子での保存への移行を円滑に行えるように令和51231日までは、紙での保存も可能とする措置として宥恕措置が講じられています。

  注意としてプリントアウトした紙での保存を無条件で認められているのではないため、電子データの取引情報も保存は必要となります。



【インボイス制度】10月1日以後の返品、値引き等の対応に気を付けよう!!

インボイス制度が始まると、多くの事業者に影響があるのが、返品、値引き、売手負担の振込手数料への対応かと思われます。会計処理によっては、インボイスの発行や受け取りなどの事務負担が増える可能性があるため、留意点を確認し、場合によっては会計処理の変更を検討する必要が生じるかもしれません。


消費税の納税義務者は売手負担の振込手数料への対応に注意しよう!

(1)  自社の会計処理を確認する

売上代金の決済において、商慣行として、取引先(買手)が振込手数料相当額を差し引いた金額を振り込むことがあります。

この場合、売手が負担することとなる振込手数料相当額について、「雑費」や「支払手数料」として費用処理するか、あるいは「売上値引き」として売上のマイナス処理を行うことが一般的です。

インボイス制度の開始によって、売手負担の振込手数料を「雑費(支払手数料)」とするか、「売上値引き」とするかによって、売手の対応が異なります。まずは、売手負担の振込手数料について、インボイス制度による影響を確認し、今後どのように会計処理するかを検討しなければなりません。

 

(2)  3つの対応 ―負担軽減になるのは?―

売手負担の振込手数料については、次の3つの対応が考えられます。

    ①  「売上値引き」として処理する

    ②  「雑費」として処理する

    ③  「雑費」で会計処理し、消費税法上「売上値引き」処理する

 

  「売上値引き」として処理する場合…

  インボイス制度では、登録事業者は返品や値引き、割戻しなどの売上に係る

対価の返還等について「返還インボイス」を発行する必要がありますが、金額が

税込1万円未満であれば、返還インボイスの発行が免除されます。

 数百円ほどの振込手数料であれば、返還インボイスの発行が不要となるため、

事務負担を軽減することができます。

 なお、簡易課税制度を選択している事業者の場合、振込手数料を「売上値引き」

として処理したときの納税額を一度確認してみましょう。

 

  「雑費」として処理する場合…

 売手負担の振込手数料を「雑費」として処理する場合は、売上をマイナス処理

しないため売上集計表と帳簿上の売上が一致します。

 従来は、特例措置として「3万円未満の課税仕入」については、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められていたため、数百円程度の振込手数料であれば「雑費」として費用処理しても問題はありませんでした。

 インボイス制度開始後は、この特例措置が廃止されるため、振込手数料について仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、金融機関や取引先からインボイスを受け取る必要があり、事務負担も増えることになります。

 

[一定規模以下の事業者には経過措置がある]

 一定規模以下の事業者(基準期間における課税売上高が1億円以下、または特定期間における課税売上高が5千万円以下の課税事業者)には、税込金額1万円未満の課税仕入(令和11930日まで)について、帳簿のみの保存で仕入税額控除を認める特例措置(少額特例)が適用されるため、当面は「雑費」として処理しても事務負担に影響はないでしょう。

 

  「雑費」で会計処理し、消費税法上「売上値引き」処理する場合…

 売手負担の振込手数料について、会計上は「雑費」として処理し、消費税法上は売上に係る対価の返還等として「売上値引き」処理することも認められます。

 この場合、会計上、振込手数料相当額について売上のマイナス処理を行うことなく、返還インボイスの発行が免除されます。

 

実際の返品や値引きを行うときは「返還インボイス」の発行を!

売上に対して、実際に返品や値引きを行う場合には、その金額が税込1万円以上であれば返還インボイスの発行が必要です。

実務では、例えば、売上(請求)金額に端数が生じた場合に、請求書上、端数分を値引き処理することがあります。この場合は、値引きした端数分についての税率・消費税額などを記載した返還インボイスが必要になります。(インボイスと返還インボイスを1つの書類に記載することもかのうです)

あるいは、請求後、取引先とのやりとりで、「代金振り込み時に5万円を差し引いて振り込んでください」といった値引きなどのケースでは、値引きした5万円部分について、税率・消費税額などを記載した返還インボイスが必要になります。


※ショッピングサイトなどで購入したときのインボイスの受け取りについては、出品者(販売事業者)が適格請求書発行

 事業者であれば、インボイスを受け取ることができます。

 受取方法については、各ショッピングサイトを確認しましょう。



【「交際費」、安易につかっていませんか?】

令和6年度税制改正で、法人税において交際費等から除外される1人あたりの飲食費の基準が5千円以下から1万円以下に引き上げられました。とはいえ、安易に使うのではなく、適切に支出されているか、支出に見合った効果を得られているかを、しっかり検証し使うようにしましょう。

 

交際費とはどのようなお金?

交際費等とは、得意先や仕入先等、会社の事業に関係のある人に対して、接待や贈答、慰安等を行うために支出するお金です。

交際費等は原則として全額が損金算入されないこととされていますが、中小企業では年間800万円までなら損金算入することが認められています。

またこれとは別に以下①~⑤のものも損金算入が認められています。

  従業員の慰安のために、運動会・演芸会・旅行等を行う際に要した費用

  主に社外の人と飲食等のために使う費用で、一定金額以下の場合

  カレンダーや手帳等を贈るために要した費用

  会議に関連して弁当や茶菓子等を出すために要した費用

  新聞・雑誌・放送番組等のために行う座談会や取材等のために要した費用

 このうち②主に社外の人との飲食等のために使う費用については、令和641日以後に支出するものから、「一定の金額以下」の上限が1人あたり1万円以下に引き上げられています。1人あたり1万円以下であれば、交際費等の「接待飲食費」にならず、交際費等以外の費用として損金に算入もできます。

 ただし、この場合にも、損金に算入するためには一定の要件を満たす必要があります。

  領収書等の保存要件として

〈自社で記入する事項〉

  ・その飲食の目的、具体的内容

  ・飲食等に参加した得意先、仕入先等関係者の氏名または名称および関係性

  ・参加した人数

〈あらかじめ記載されているもの〉

 ・飲食等のあった年月日(支払った年月日)

   ・宛名や金額、但し書き

 ・飲食店等の名称および所在地

     ※インボイス登録の有無も合わせて確認しておきましょう

 

 また、領収書だけでなく、帳簿の取引先名には飲食店等の名前を、元帳適用には、経費にする根拠として、飲食等をした相手先、参加人数等を書いておく必要があります。よく「取引先接待」というように簡略し記載していることがありますが、事業に関する相手との飲食がどうかが正しく判別出来なくなってしまうため、事実に基づいた記載・保管をするように従業員にも周知するようにしましょう。

 

交際費等を使う場合は目的・効果・予算を意識する

業種や業界によって異なりますが、交際費等を支出する目的には、次のようなものが考えられます。

  ◎これまでの取引のお礼と今後も継続した取引をお願いするため

  ◎取引の増加や取引単価を上げる交渉のため

  ◎新規の取引を始める、または新商品や新サービスの販路拡大をするため 等

 

いずれの場合も、売上や利益の維持・増加や円滑な取引の継続のために、目的を持って支出する費用ということになります。交際費等を使う場合、一般的には、①支出の目的 ②支出の効果 ③予算額 を明確にしてから上司や経営陣の承認を得る、という流れになりますが、中小企業では経営幹部の判断だけで交際費等が使われていることも多いでしょう。そのような場合にも、この3点を意識しておくことが大切です。

②支出の効果については、例えば、半期に1回程度、交際費等を取引先別や取引先担当者別に集計し、実際の取引額と比較・検証するとよいでしょう。そうすることで、費用対効果によってもたらす利益等が明確になるので、経費削減等も含め見直しやすくなると思われます。

 

「経費になるから」と公私混同せず適切な支出を心がけよう!

交際費等の実態が、例えば、個人的な友人とのゴルフや、家族との飲食のような、役員の私的な支出であれば、役員への給与とみなされます。

その場合、役員本人への給与の支給として源泉所得税が課されることになります。さらに、会社では損金算入が認められず、法人税等の課税額が増えることにもなります。

公私混同が常態化していると、社内全体のモラル低下を招き、不正が起きやすい会社になってしまったり、従業員の働く意欲の低下や離職などにもつながったりする可能性があります。結果的に会社を弱体化させる要因にもなりかねません。

近年はコンプライアンス意識が高まっており、交際費等の支出にはより慎重さが求められるようになると思われます。会社にとってこの交際費は利益等につながるかどうかをしっかり判別し、「経費になるから(できるから)」と会社のお金を無駄遣いしないようにしましょう。






【金融機関は融資審査でココを見る!!】

「融資を申し込んだけど、質問や資料請求が多くてなかなか進まない」「審査が通らなかった…」という経験はありませんか?「金融機関が融資審査を行う際、何を重視しているのか」をあらかじめ知っておくと、「いざ!」という時の資金調達がスムーズです。

 

金融機関が知りたいのは「資金使途(使い道)」と「返済能力」

融資審査にあたり、金融機関が重視するのは主に次の2つです。

1. 貸したお金は何に使われるのか?(資金使途)

2. 貸したお金はきちんと返済されるのか?(返済能力)

 金融機関にとっての「商品」はお金です。そして、そのお金は、個人や法人等から「預かったお金」。だからこそ金融機関は、お金を預けてくれた人(預金者)に対して、商品であるお金が適切に運用されているか、無駄遣いはされていないか、などをきちんと説明する責任があります。

 そのため、中小企業等から融資の申し込みを受けた金融機関は、預金者から預かった大切なお金が「何に使われるのか」「きちんと返済してもらえるのか」が最も気になるのです。

 

「運転資金」「設備資金」の違いを理解し「どう返済するか」を説明しよう

1.貸したお金は何に使われるのか

   お金の主な使い道には「運転資金」と「設備資金」があります。

   運転資金が必要になるケースは、主に、①売上の増加(在庫および売掛金の増加)②販売・仕入条件の変更

 (代金の支払時期の前倒しによる買掛金の増加)等により、「支払う必要のある金額」が増加し、手元の現金・

  預金でカバーできない場合があげられます。

   また、経済状況の激変や災害等の外的要因により、一時的に売り上げが減少し給与や家賃の支払いが難しくなった場合にも融資を受けることが必要になります。

    設備資金は、例えば、「店舗を増やしたい」「新たな機械を導入して作業の効率化を図りたい」といった時に

  必要になる資金です。設備資金の申し込みの際は、金融機関に設備等の必要性・導入効果を説明する資料

 (事業計画)と、その設備の「見積書」をあらかじめ用意することが大切です。

   運転資金・設備資金のいずれの融資であっても、金融機関からすれば、「将来、返済するためのお金

 (返済原資)」を生むものでなければ、融資は難しくなります。そのため、運転資金や設備資金として融資を受ける場合には、融資実行後の業績によって、「どのくらい利益が生まれるのか」「その利益からいくら返済してい

くのか」を、社長自身の言葉で説明できるように準備しておきましょう。これらの説明が明確で、かつ具体的であればあるほど、金融機関は融資実行を判断しやすくなります。

※注意※

  次のような場合に該当すると[資金使途違反]となるおそれがあります。

   ・設備資金を運転資金に流用したとき

   ・設備投資における見積金額とは発注金額に差があり、その差分の流用があったとき

    (該当すると、今後、新たな融資を受けられなくなったり、一括返済を求められたりする可能性もあるので

     注意しましょう。)

2.貸したお金はきちんと返済されるのか?

    金融機関は、融資の約定に従った元本返済と利息の支払いを求めます。そこで大事になるのが「返済能力」です。

 一般的に、返済能力は、①債務償還力 ②安定的な収益性 ③資本の健全性― の3つの視点から、

 決算書や試算表の数字を基に確認することになります。

   ※3つの視点とは

    ①債務償還力…借入金は利益の15倍以内である

    ②安定的な収益性…減価償却前経常利益が2期連続赤字でない

    ③資本の健全性…直近の純資産額が債務超過でない

   よって、いざ資金が必要な時に融資を受けられない事態は避けたいものですよね。そうならないためにも、

   巡回監査を経た正確な月次決算データを基に、借入金の状況を定期的にチェックすることが大切です。

 

積極的・定期的な情報開示が金融機関との信頼関係をより深める!

金融機関には、いったん融資をしたら、返済が全て終わるまで、融資先の業績改善支援を含めたフォローが求められています。滞りなく返済が実行されるためにも、融資先の最新情報を把握したいと考えているのです。

1回の決算書だけでなく、金融機関に求められれば、いつでも試算表を提出できるように日頃から記帳や会計資料などの準備をしておくようにしましょう。

それによって金融機関も融資先のバックアップ体制を整えることもでき、企業にとっては、金融機関から幅広く経営全般を迅速にサポートしてもらえることにもつながります。

積極的・定期的な情報開示は、金融機関との信頼関係をより深める「第一歩」となるのです。

【パート・アルバイト等の社会保険加入を考える】

「年収の壁(106万円)」などで話題に上ることが多い社会保険(厚生年金保険・健康保険)。政府はいま、「多くの人に手厚い社会保障を」との方針のもと、適用拡大の制度改正を進めています。「キャリアアップ助成金」の活用も含め、従業員の社会保険について考えてみましょう。

パート・アルバイト等も要件を満たせば適用対象

会社には、原則として、社会保険(厚生年金保険・健康保険)に加入する義務があります。正社員だけでなく、パート・アルバイト等も社会保険の適用対象となります。

パート・アルバイト等の社会保険の適用範囲は、週の所定労働時間と会社の従業員数によって変わります。従業員数をカウントす    る際は、複数の拠点を持つ会社(例えば本社以外にも支店や店舗・工場等)では、全拠点の従業員数を合算する必要があるため、注意しましょう。パート・アルバイト等の社会保険の適用基準は、以下のとおりです。

  週の所定労働時間が20時間以上30時間未満

  所定内賃金が月額8.8万円以上

  2か月を超える雇用の見込みがある

  学生ではない(休学中、定時制・通信制の方を除く)

 この適用基準に加えて、令和610月から、「従業員数51人以上」の会社が義務的適用となりました。ただし、従業員数50人以下の企業等でも任意適用が可能です。

社会保険の被保険者になった従業員は、老齢年金や障害年金の給付額の増加、遺族年金や傷病手当金、出産手当金の給付等、さまざまな恩恵を受けられます。

会社としても、特に人材確保の面でメリットがあります。求人票に社会保険加入の旨を掲示できるため、応募率上昇につながるほか、充実した社会保障を受けられる安心感から、従業員の定着率のアップにもつながります。

また、被保険者となる従業員は、おのずと「年収の壁(106万円)」を超えることになるため、収入を意識して勤務時間を調整せずに済み、シフト調整がしやすくなります。

 

 

社会保険加入を後押しする「キャリアアップ助成金」

従前より厚生労働省では、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を実施した事業者に対して「キャリアアップ助成金」を支給しています。令和510月からは,同助成金に「社会保険適用時処遇改善コース」が追加されました。これは令和8331日までの措置となりますので、積極的に活用しましょう。活用にあたっては、各メニューの取り組みを開始する日の前日までに管轄労働局へ「キャリアアップ計画書」の提出が必要です。




【年収160万円まで所得税の課税最低限が引き上げ!】

令和6年末から大きな話題となっている「年収103万円の壁」の見直し。令和7年度より、所得税が課税されない範囲(課税最低限)が、「103万円」から「160万円」へと見直されることになりました。


一定の要件のもと所得税の課税最低限が「年収103万円」から「年収160万円」に!

令和6年分まで、年収103万円以下の給与所得者(会社員、パート・アルバイト等)は、所得税がかかりませんでした。この103万円の課税最低限の根拠は、給与所得控除の最低保証額55万円と基礎控除額48万円の合計です。

本改正で、給与所得控除と基礎控除の金額が見直され、所得税の課税最低限が160万円まで引き上げられました。

103万円が160万円になったということは、差額の57万円が一律で引き上げられたの?」と思われがちですが、実は少し複雑で、実際には給与所得控除が10万円と基礎控除が47万円(合計57万円)となり、引き上げが適用されるのは、年収200万円以下の人だけとなります。


◎給与所得控除の最低保証額が65万円に

 給与所得者の所得税額の計算においては、まず給与収入から給与所得控除を差し引いて「給与所得」を算出します。

〈給与所得控除の計算式〉

給与等の収入金額

改正前

令和7年分以降

1625,000円以下

55万円

 65万円

1625,000円超  180万円以下

収入金額×40%10万円

180万円超 190万円以下

収入金額×30%8万円

190万円超 360万円以下

収入金額×30%8万円

360万円超 660万円以下

収入金額×20%44万円

660万円超 850万円以下

収入金額×10%110万円

850万円超

       195万円(上限)

 

 給与所得控除額の計算においては上の表にて計算ができます。

 年収1625,000円以下であれば55万円の給与所得控除(最低保証額)がありましたが、令和7年分以降は、年収190万円以下であればこの最低保証額が10万円アップし65万円になります。なお、年収190万円超の給与所得者については、給与所得控除の最低保証額引き上げによる影響はありません。

◎「基礎控除」は最大47万円上乗せ

  次に、給与所得からさまざまな所得控除(基礎控除・配偶者控除・扶養控除等)を差し引くことで、「課税所得」を算出します。

〈令和7年以降の基礎控除額〉

合計所得金額

改正前

令和7年・8年分

令和9年~

132万円以下

 

 48万円

95万円

132万円超 336万円以下

88万円

      58万円

336万円超 489万円以下

68万円

489万円超 655万円以下

63万円

655万円超 2,350万円以下

58万円

2,350万円超 2,400万円以下

48万円

2,400万円超 2,450万円以下

32万円

2,450万円超 2,500万円以下

16万円

2,500万円超

 

 本改正では、ほとんどの給与所得者に適用される基礎控除の金額を引き上げることで、幅広い層で所得税額が軽減されることとなります。

  例えば、合計所得金額132万円(年収200万円相当)以下の人については、47万  

 円が上乗せされ、改正前の48万円と合わせて基礎控除額が95万円となります。

  一方、合計所得金額132万円超2,350万円以下(年収200万円相当超2,545万円相当以下)の人については、恒久的に適用される上乗せは10万円となります。

 ただし、令和7年分・8年分に限り、年収200万円相当超850万円相当以下の人を含めて税負担を軽減する観点から、合計所得金額に応じて基礎控除額を上乗せする特例が設けられています。

  なお、合計所得金額2,350万円(年収2,545万円相当)超の給与所得者には、本改正の影響はありません。

 

複雑になった給与計算事務にきちんと対応しよう!

 令和7年分・8年分の所得税は、幅広い年収層で2万円から3万円程度の減税となります。その結果、従業員の給与計算事務への影響が見込まれます。




【親の税負担を軽減する「特定親族特別控除」が新設!】

大学生年代の子を持つ親は、子がアルバイト等によって「年収103万円」を超えると、自身の所得から扶養控除(特定扶養控除)を受けることが出来ませんでした。令和7年度税制改正において、親の税負担軽減のための新しい制度「特定親族特別控除」が創設されました。


子の年収が「188万円以下」までは親等が所得控除を受けられるしくみ

これまで大学生年代(19歳以上23歳未満)の子を持つ親等(扶養する側)は、子(扶養される側)のアルバイト等による年収(給与収入のみ)が103万円以下であれば親等の所得から扶養控除(特定扶養控除)として63万円の控除を受けることができました。一方で、子は親等の税負担が増えないように「年収103万円以下」に抑えるために働く時間を調整することも多く、学生アルバイトを雇用する事業者は人材確保に苦慮することも多くありました。 

そうした状況を税制面から改善するため、令和7年度税制改正で「特定扶養控除」の子の年収要件が引き上げられたとともに、「特定親族特別控除」が創設されました。大学生年代の子が収入を増やしても、親等の税負担が軽減されるようなしくみとなっています。

〘改正①〙「特定扶養控除」の年収要件を引き上げ

親等が受ける「特定扶養控除」(控除額63万円)について、子の年収要件が103万円以下から123万円以下(合計所得金額58万円以下)に引き上げられました。

〘改正②〙「特定親族特別控除」の創設

「特定扶養控除」に加え「特定親族特別控除」が創設され、大学生年代の子の年収が123万円を超えても、150万円以下(合計所得金額85万円以下)であれば、「特定扶養控除」と同額(63万円)の「特定親族特別控除」を親等が受けることが出来るようになりました。また、子の年収が150万円を超えても、年収188万円以下までは親等が所得控除を受けれます。ただし子の年収の増加につれて控除額が段階的に縮小し、年収188万円を超えると控除がなくなります。

〘改正③〙学生自身の税負担も軽減

アルバイトによる給与収入がある学生は、これまで年収103万円を超えても年収130万円以下であれば、「勤労学生控除」(27万円)を受けることで税負担はありませんでした。令和7年度税制改正において、勤労学生控除の所得要件が年収150万円以下(合計所得金額85万円以下)に引き上げられました。つまり、年収150万円までは、アルバイトをしている学生自身の所得税負担がなく、かつ。親の税負担もこれまでと変わらないということになります。

 

就業調整の緩和に期待!学生アルバイト人材の確保がしやすく!!

 これら①~③の改正は、令和7年分の所得税(年末調整において適用)、令和8年度分の住民税から適用されます。

今回の改正により、アルバイトをしている学生等が、「年収103万円」を超えて、より多く働けるようになります。そのため、学生アルバイトを雇用する事業者は、柔軟なシフトを組むことができるようになります。

 

※注意!収入や労働時間が増えることで、学生アルバイト自身の住民税・所得税の負担、社会保険への加入義務が発生する場合があります。




【「雑収入」、正しく計上してますか?】

会社の通常の事業等は関連しない収益を「営業外収益」としますが、そのうち、少額なものや、たまたま取引等で得た収益は、実務上「雑収入」として計上することになります。この「営業外収益」「雑収入」の基本的な考え方や計上のタイミング、税務上の注意点を再確認しておきましょう。

基本の考え方を知っておこう ①「営業外収益」とは?

「営業外収益」とは、商品の売買やサービスの提供等の会社の通常の事業とは関連しない取引で生まれる収益のことをさします。

営業外収益に区分される収益のうち、財務活動としての「受取利息」「受取配当金」、経常的な投資収益たる「(投資)不動産賃借料」は区別することが一般的です。「受取利息」や「受取配当金」は源泉所得税が控除されているので、正しく計上するとともに、利息等の計算書を保存しましょう。

このほか、「為替差益(差損)」や「仕入割引」等、業種や商慣行、金額の重要性により別科目で計上することが望ましいものもあります。 

基本の考え方を知っておこう ②「雑収入」とは?

営業外収益の中でも、少額なものは「雑収入」として計上します。雑収入に該当する一般的なものは以下のとおりです。

◎ 遠隔地にある所有不動産(土地・建物)等の賃貸収入

◎ 保険会社からの契約者配当金・保険金

◎ 法人税・都道府県民税等の還付加算金

◎ 使用しなくなった車両、機械装置等の売却代金

◎ 会社に設置した自動販売機による収入

◎ 鉄くず・建設廃材等の売却代金

◎ 消費税の納付差益、精算差益

◎ 代理店手数料、特約店手数料、報奨金   など

 

売上以外の収益は「雑収入」として計上してしまいがちですが、、「どのタイミングで収益計上するか」「そもそも雑収入が適切なのか」はケースごとに異なります。

特に手数料等は取引日をあまり意識しないで受け取ることも少なくないでしょう。これらは通知があった時や債権が確定した日に収益計上すべき取引であり、税務調査時のチェック項目として期ずれを指摘されることがあります。

 

 

こんな時はどうする? よくある5つのケーススタディ

〈ケース①〉保険の配当金

配当金が支払われたり、積み立てられたりするタイプの生命保険等がありますが、そうした保険に加入している場合には、配当金の通知書等に基づいてその事業年度中に雑収入として計上します。

 

〈ケース②〉助成金や給付金等

 国や地方自治体等から交付される助成金や給付金は、一般的に「申請」⇒「支給決定」⇒「確定通知」⇒「支給」となっています。国や地方自治体等からの通知書等に支給決定日が明記されている場合は、原則、その日付で雑収入として収益計上します。

  ※支給決定の後に事業年度をまたぎ、翌事業年度に支給された場合でも、支給決定のあった事業年度に収益として計上する必要があるので

 

〈ケース③〉ポイントの活用・還元

 量販店等が発行する法人名義のポイントカードや、法人名義のクレジットカードを使用して物品の購入等を行った場合にポイントが付与されることがあります。

 会社においてこの貯まったポイントを活用して物品を購入した場合、ポイントで支払った分についてはレシートの記載に基づいて雑収入または値引きとして計上します。

 

〈ケース④〉鉄くず・建設廃材等の売却収入

 鉄くず・建設廃材等の売却収入は、たとえ少額であっても漏らさずしっかりと雑収入として計上しましょう。税務調査において売却収入の計上漏れを指摘され、意図的な除外と認められた場合、重加算税が課されることもあります。

 特に近年は、金属の価格が高騰していることもあり、税務調査において指摘されがちですので注意が必要です。

 

〈ケース⑤〉クラウドファンディング

   資金調達手段の1つとして、クラウドファンディング(CF)が広まりつつあります。CFで得た収入は一般的に雑収入として計

     上しますが、出資者への返礼品がない「寄付型」のCFで得た収益は、受け取る金額が確定した時に受贈益として計上します。

     一 方、返礼品として商品やサービス等が提供される「売買型」のCFでは、入金時に前受金処理し、商品等の引渡し時に売上

     計上します。

【知っておきたい「生前贈与」のイロハ】

将来の相続に備えて、「生前贈与」をお考えの方も多いのではないでしょうか。生前贈与は早めに検討を始めることが肝要です。そのために知っておきたい2つの制度、「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」の概要について紹介します。

「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」は何が違う?

通常、相続が発生した場合には、財産を取得できる相続人やその相続分は民法で定められています。一方、生前贈与の場合には、「誰に(法定相続人以外の人も含む)」「何を」「いつ」「どれだけ」贈与するかを、贈与者(財産をあげる側)・受贈者(財産をもらう側)の合意のもとで、あらかじめ決めることができる…という利点があります。

生前贈与により財産をもらった受贈者は、原則として贈与税の納税義務が生じます。そして、その課税方法には暦年課税制度と相続時精算課税制度の2つがあります。

暦年課税制度は、1年間(11日から1231日まで)に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除110万円を差し引いた残額(基礎控除後の課税価格)に、所定の税率(10%~55%)をかけて贈与税額を計算します。同制度の利用には特段の要件・制限はありません。

相続時精算課税制度は、贈与者から1年間に贈与を受けた財産の合計額を基に、一定の税率(20%)で贈与税を計算して「仮払い」し、相続発生後、贈与された財産を相続財産に加算した上で、相続税額から「仮払い」した贈与税の分を差し引く(精算する)制度です。

同制度の利用には一定の要件があり、原則として、①贈与者が60歳以上 ②受贈者が18歳以上かつ贈与者の直系卑属である推定相続人または孫―――の要件を満たす場合に利用できます。また、受贈者は、初年度に「相続時精算課税選択届出書」の届出が必要です。

どちらの制度が適切かは慎重な検討が必要!早めに相談を!!

暦年課税制度は、低税率での生前贈与を早めに進めておける利点があります。また、基本的に、毎年110万円の基礎控除額以内であれば贈与税申告も不要です。ただし、相続発生後には、相続開始前の7年間分の贈与財産が相続財産に加算されます。(経過措置あり。相続開始47年前の贈与からは100万円を控除)

相続時精算課税制度は、今年から改正され、特別控除2,500万円のほか、毎年110万円の基礎控除を適用できることになって使い勝手がよくなりました。基礎控除の範囲内であれば、相続財産に加算されない(「持ち戻し」がない)ため、将来の相続税負担を軽くすることが期待できます。ただし、相続発生後には、必ず相続税申告をする必要があります。また、同制度を選択した贈与については、その後暦年課税制度に戻すことができない点に注意が必要です。